妻と一緒に車中泊を始めて3年。最初は温泉地や絶景スポットを巡っていたのですが、ある時ふと思ったんです。「波の良い日に、朝日と一緒に海に出たら最高じゃないか」と。バックパッカー時代にハワイやインドネシアでサーフィンを楽しんでいた経験があったので、今こそ日本の波を本気で追ってみようと決意しました。実際にやってみると、これがもう本当に素晴らしい。波のコンディションに合わせて自由に移動でき、夜明け前に波乗りができる。そんな車中泊サーフィンの魅力と、実際に泊まったスポット、そして失敗から学んだ工夫をお伝えします。
車中泊でサーフィンをする魅力とは?
波のコンディションに合わせて自由に移動できる
車中泊の最大の魅力は、なんといっても「自由度」です。サーフィンの場合、この自由度がもう次元が違うんですよね。
通常、サーフィンをするには決まったビーチに通うことになります。でも波というのは、風や気圧、潮汐によって日々変わります。昨日良い波が来ていても、今日は全くダメなんてことばかり。ところが、車中泊なら違う。天気予報とサーフ情報アプリをチェックして、「今日は千葉の一宮が良さそうだ」と思ったら、そのまま走って行けばいいんです。
私たちも先月、天気予報で「3日後は伊豆半島の南側がグラッシー(波が良い状態)」と知り、前日のうちに出発。到着してから朝5時に波をチェックして、見事にセットが入ってくるのを目撃しました。ホテルに泊まっていたら、こんな柔軟な移動はできません。これぞ車中泊の特権だなあ、と感じた瞬間です。
早朝の波乗りを楽しむための最高の拠点
サーフィンの質を左右する大きな要素が「時間帯」です。特に早朝(夜明け前から朝8時頃まで)は、風が陸から海に吹く「オフショア」という条件になりやすく、波が整いやすいんです。
通常、朝一番の波を楽しもうとすると、遠方から車を走らせて到着したら既に日が昇っている…なんてことになりがちです。でも車中泊なら、ビーチのすぐ近くで寝ているわけです。夜明け前に目覚めて、そのまま準備して波に出られる。この優位性は本当に大きい。
実際、私たちが一宮町に泊まった時は、午前4時半に目覚めて、5時には海に入っていました。その時の波の質といったら…本当に素晴らしかった。セットが次々と入ってくる中、朝焼けを眺めながらサーフィンをする。妻は初心者ですが、その時ばかりは「こんなに気持ちいいなんて」と感動していました。ホテルから1時間かけて来ていたら、絶対にこの時間には間に合いません。
サーフィン向け車中泊スポット選びのポイント
波の質と季節による選択基準
サーフィンの波選びは、季節と地域で大きく変わります。日本の波の基本的なパターンを理解することが、良いスポット選びの第一歩です。
秋から冬(9月~3月) は、太平洋側が活躍する季節です。台風や低気圧の影響で、太平洋側の波が大きくなります。千葉、静岡、高知といった東向きのビーチが狙い目。特に12月から2月は、北太平洋の冬の高気圧と低気圧の気圧配置が安定し、良い波が定期的に入ります。
春から夏(4月~8月) は、太平洋側は波が小さくなりがちです。代わって日本海側や、沖縄といった南の島が活躍します。沖縄は通年で温暖ですが、特に冬場に本州から逃げてくるサーファーが多いのもこのためです。
波のサイズだけでなく、「波の形」も重要です。初心者向けのビーチは、底が砂で波が穏やかに崩れる場所。一方、本格的なサーファーを目指すなら、岩礁や砂利の底で、波が鋭く立ち上がるポイントが良いでしょう。
トイレやシャワー施設の充実度を確認する
これは本当に大事です。いやはや、最初の失敗がここでした。
初めて千葉の九十九里浜に泊まった時、「ビーチが近い」という理由だけで駐車スペースを選んでしまったんです。朝のサーフィンから帰ってきて、塩辛い体を洗いたいと思ったら…トイレはあるけど、シャワーがない。仕方なく、持ってきたペットボトルの真水で体を流しました。その時の不快感といったら…。
サーフィン後は、塩辛い海水が体中に付いています。これをそのままにしておくと、肌荒れや髪のダメージが進みます。また、ウェットスーツも塩水を落とさないと、素材が傷みやすくなります。
だから、スポット選びの際は「トイレ」「シャワー」「真水の蛇口」が揃っているかどうかを必ず確認してください。可能なら、道の駅や温泉施設の近くを選ぶと、さらに快適です。後述する「実際に泊まったスポット」では、この点も含めて紹介していますので、参考にしてくださいね。
駐車スペースと安全性をチェック
車中泊をする上で、安全性は絶対に譲れません。特にサーフィンをする場合、夜間に到着することも多いでしょう。
駐車スペースを選ぶ際は、以下の点をチェックしてください:
- 明るさ:街灯があるか。夜間でも周囲が見える場所か
- 人通り:完全に人目につかない場所は避ける。程よく人通りがある方が安全
- 逃げ道:一本道で逃げられない場所は避ける。複数の出口がある場所を選ぶ
- 地元民との関係:可能なら、地元の人に「車中泊をしても大丈夫か」と確認する
私たちは、各スポットに到着する前に、Google Mapsのレビューや、サーフィン関連のSNSで「この場所は安全か」という情報を集めています。また、地元のサーフショップに立ち寄って、情報を聞くこともあります。こうした事前リサーチが、快適で安全な車中泊につながるんです。
実際に泊まったサーフィン向け車中泊スポット5選
千葉県・一宮町周辺(初心者向けの波が豊富)
千葉県の一宮町は、サーフィン初心者にとって本当に素晴らしいスポットです。「サーフィンの聖地」とも呼ばれ、年間を通じて安定した波が入ります。
おすすめの駐車スポット:一宮海水浴場の駐車場周辺。夏場は有料(1日500円程度)ですが、秋から春は無料で停められることが多いです。トイレ、シャワー施設が完備されており、真水で塩を落とすことができます。
波の特徴:砂浜が広く、波が穏やかに崩れるため、初心者向け。サイズは通年で腰~肩くらいが目安。秋から冬にかけて、より大きく安定した波が入ります。
実体験:2月に妻と泊まった時、朝5時半に海に入りました。その時の波は腰くらいで、妻も初心者向けの波に大満足。帰ってきてから、ビーチ近くの「一宮シーサイドオーベルジュ」というレストランで、新鮮な海の幸を食べたのが忘れられません。朝のサーフィンで体を動かした後の食事は、本当に格別です。
神奈川県・湘南地域(アクセスと波のバランスが最高)
湘南は、首都圏からのアクセスが良く、かつ年間を通じて安定した波が入るスポットです。鎌倉、藤沢、茅ヶ崎といった複数のビーチがあり、その日の波の状況に応じて選択できるのが魅力。
おすすめの駐車スポット:茅ヶ崎海岸の西浜駐車場。1日500円程度で、トイレ・シャワー施設が完備。周辺には飲食店も多く、夜間の買い物に困りません。
波の特徴:砂浜で、波のバリエーションが豊富。初心者から中級者まで楽しめます。冬場は北東の風でオフショアになりやすく、朝の波が特に整いやすい。
実体験:3月に泊まった時、朝の波は肩くらいで、かなり良いコンディション。その日は朝2時間、昼1時間と、計3時間サーフィンを楽しみました。体は疲れましたが、心は本当に満たされていました。帰り道に、湘南の有名なしらす丼を食べたのですが、その味も相まって、「こんな人生もあるんだな」と改めて感じた次第です。
静岡県・伊豆半島(変化に富んだ波が楽しめる)
伊豆半島は、複雑な地形のため、波のバリエーションが本当に豊富です。東側、南側、西側と、それぞれ異なった波が入ります。
おすすめの駐車スポット:下田市の白浜海岸周辺。駐車場は1日500~1000円程度。温泉地としても知られているため、温泉施設が近く、サーフィン後の疲労回復に最適です。
波の特徴:岩礁が多く、波が鋭く立ち上がります。中級者以上向け。季節によって入ってくる波の方向が変わるため、年間を通じて飽きが来ません。
実体験:去年の11月、伊豆半島を巡った時の話です。1日目は東側の伊東で波をチェック。その時は波がイマイチだったので、翌朝は南側の下田に移動。すると、見事なセットが入っていました。この「波を追って移動する」という体験は、本当に車中泊ならではだなあ、と実感しました。また、下田の温泉施設「伊豆下田温泉」に立ち寄り、疲れた体を癒したのが最高でした。
高知県・須崎町周辺(本格的なサーフィンを求める人向け)
高知県は、日本でも有数のサーフィンスポット。特に須崎町周辺は、本格的なサーファーが集まる場所です。波のサイズも大きく、テクニックを磨きたい人向けです。
おすすめの駐車スポット:須崎市の道の駅「須崎」の近く。駐車は無料で、トイレ・シャワー施設も完備。地元のサーフショップが近くにあり、波の情報を聞きやすいのが利点。
波の特徴:岩礁で、波が大きく立ち上がります。中級者以上向け。秋から冬にかけて、大きな波が定期的に入ります。
実体験:12月に泊まった時、正直なところ「ちょっと怖い」と感じました。波のサイズが大きく、流れも強い。地元のサーファーたちは軽々と乗りこなしていますが、私たちはビーチで様子を見ることに。その代わり、地元のサーフショップの店主と話す機会があり、「波の読み方」「安全な入り方」など、本当に貴重な情報をもらいました。サーフィンのテクニックだけでなく、地元との人間関係も広がるのが、車中泊の魅力だなあ、と感じた次第です。
沖縄・恩納村(冬でも温暖で長期滞在に最適)
沖縄は、冬でも温暖で、長期滞在に最適です。波のサイズは年間を通じてそこまで大きくありませんが、温暖な気候の中でサーフィンを楽しめるのが最大の魅力。
おすすめの駐車スポット:恩納村の海岸沿いの駐車場。無料で停められ、トイレ・シャワー施設も充実。周辺には飲食店も多く、長期滞在に向いています。
波の特徴:砂浜で、波は腰~胸くらい。初心者から中級者まで楽しめます。冬場の気温は15~20℃程度で、ウェットスーツなしでも入れることもあります。
実体験:2月に10日間滞在しました。本州では冬真っ最中ですが、沖縄は比較的温暖。毎朝サーフィンをして、昼間は読書や散歩。夜は妻と一緒に、地元の食堂で沖縄そばを食べる。こんなのんびりとした時間の過ごし方は、本当に素晴らしい。また、地元のサーファーたちとも交流でき、沖縄の波の特性や、地元の穴場スポットなども教えてもらいました。
車中泊でサーフィンするための装備と工夫
ウェットスーツやボードの収納・乾燥方法
ウェットスーツとボードは、サーフィン車中泊の最大の課題です。これらは場所を取りますし、塩水を浴びているため、乾燥と管理が大変なんです。
ボード固定ラック:我が家は、ミニバンの天井に「ボード固定ラック」を取り付けています。これにより、ボードを立てかけることで、車内のスペースを有効活用できます。ラックの価格は3000~5000円程度。DIYで自作することも可能です。
ウェットスーツの乾燥:使用後のウェットスーツは、すぐに真水で塩を落とし、車の外に干すのが基本。我が家は、車のサイドミラーに専用のハンガーをかけて、乾燥させています。夜間は、通気性の良い網目のバッグに入れて、車内に保管。湿度が高い場合は、除湿剤を一緒に入れておくと良いでしょう。
実体験:初めての車中泊サーフィンの時、ウェットスーツを適切に乾燥させずに、そのまま車内に放置してしまいました。翌朝、車内がカビ臭くなっていて、本当にがっかり。それ以来、乾燥と管理には気をつけています。
塩辛さ対策!シャワー設備がない時の工夫
先ほども触れましたが、シャワー設備がない場所での対策は本当に重要です。
真水の確保:20リットルのポリタンクに真水を入れておくことをお勧めします。サーフィン後、ビーチで体と道具を洗うことができます。ホームセンターで購入できますし、価格は1000円程度。
タオルと着替え:吸収性の高いタオルを複数枚用意しておくと、体の塩分をしっかり落とせます。また、着替えも複数枚あると、一枚が塩辛くなっても別の服に着替えられます。
シャワーシートの活用:キャンプ用のシャワーシートも便利です。これを使うことで、車内で簡易的にシャワーを浴びることができます。ただし、車内が濡れるので、防水シートを敷いておくことが大事。
実体験:ある時、シャワー施設のない駐車スペースに泊まったことがあります。その時は、ポリタンクの真水で体を洗い、シャワーシートで最後の仕上げ。その後、温泉施設を探して立ち寄りました。こうした工夫を重ねることで、快適さが段違いに変わるんです。
朝日を活用した効率的な準備ルーティン
早朝のサーフィンを楽しむためには、準備ルーティンの効率化が大事です。
我が家のルーティンは以下の通り:
- 夜間の準備(前夜):ウェットスーツ、ボード、リーシュコードなどを車外に配置。朝、すぐに持ち出せるようにしておく
- 朝の起床(夜明け前):目覚まし時計で起床。軽く水分補給
- 着替え(5分):車内でウェットスーツに着替え
- ボード・リーシュの確認(2分):ボードに傷がないか、リーシュが絡んでいないか確認
- ビーチへ移動(5分):ビーチに到着
- 波のチェック(5分):波のサイズ、方向、流れを確認
- 海へ:サーフィン開始
この流れで、起床から海に入るまで、わずか20分程度。これにより、朝一番の良い波を逃さずに楽しめるんです。
失敗から学んだ、サーフィン車中泊の注意点
海風による車の劣化と対策
これは、本当に大きな問題です。海風は塩分を含んでおり、車の金属部分を腐食させます。
実体験:2年前、高知県に1ヶ月滞在した時のことです。帰ってから気づいたのですが、車の底部や、ドアの隙間に塩が付着していて、一部が錆びていました。その時は、本当にショックでした。
対策:
– 定期的な洗車:海沿いに泊まった後は、必ず真水で車を洗う。特に底部とドアの隙間に注意
– 防錆スプレー:定期的に防錆スプレーを吹きかけておくと、腐食を遅らせることができます
– ボディカバー:長期滞在の場合は、ボディカバーをかけておくと、塩風から車を守れます
地元サーファーとのマナー・トラブル回避法
これは、本当に大事な話です。ビーチには「暗黙のルール」があり、それを知らないと、地元のサーファーとトラブルになることもあります。
実体験:初めて一宮に行った時、波が良いスポットに無理やり入ってしまい、地元のサーファーに注意されました。後で分かったのですが、そこは「地元のサーファーの聖地」で、外部の人が無理に入るべき場所ではなかったんです。その時の申し訳なさといったら…。
マナーの基本:
– ローカルルールを守る:地元のサーフショップに立ち寄り、「この場所でサーフィンをしても大丈夫か」と確認する
– 波の順番を待つ:複数人でサーフィンをしている場合、波の順番を守る。無理に割り込まない
– ゴミを持ち帰る:ビーチにゴミを落とさない。自分たちが出したゴミは全て持ち帰る
– 駐車マナー:指定された駐車スペース以外に停めない。地元の人の邪魔にならないようにする
波の予報アプリと天気情報の活用術
波の予報を正確に読むことは、快適な車中泊サーフィンの鍵です。
おすすめのアプリ:
– Surfline:世界中のサーフスポットの波の様子をリアルタイムで見られます。ライブカメラも充実
– Magic Seaweed:波のサイズ、方向、風などを詳細に予報してくれます
– Windy:風と気圧の動きを視覚的に理解できます。波の予報にも役立ちます
活用方法:
– 前日の夜:翌日の波の予報をチェック。良さそうなら、その場所に移動するか判断
– 朝の起床時:ライブカメラで現在の波をチェック。予報と実際が異なることもあります
– 複数スポットの比較:複数のスポットの波を比較し、最も良い場所を選択
これらのアプリを使いこなすことで、無駄な移動を減らし、本当に良い波を追うことができるんです。
車中泊でサーフィンするための装備と商品
実際に使っているボード固定ラック
我が家が使っているのは、「ルーフボックス内蔵型のボード固定ラック」です。価格は約4500円。ミニバンの天井に取り付け、ボードを2枚まで立てかけられます。
メリット:
– ボードが車内のスペースを取らない
– 走行中もボードが安定している
– 雨の日も、ボードが濡れない
デメリット:
– 取り付けに若干の工具が必要
– 背の高い駐車場には入れない
DIY好きなら、塩ビパイプを使って自作することも可能です。材料費は1000~2000円程度で、YouTube動画を参考にすれば、誰でも作れます。
車内の湿度対策グッズ
ウェットスーツやボードを車内に保管する場合、湿度管理は必須です。
おすすめ商品:
– 除湿剤:「バルサン」や「エステー」の除湿剤が有効。1パック100円程度で、1ヶ月程度効果が続きます
– 小型除湿機:「象印」などの小型除湿機も便利。電源があれば、効果的に湿度を下げられます。価格は3000~5000円程度
– 通気性の良いメッシュバッグ:ウェットスーツを保管する際、メッシュバッグに入れることで、通気性が良くなります
塩水対策の洗浄・防錆アイテム
塩水による腐食を防ぐため、定期的な洗浄と防錆が必要です。
おすすめ商品:
– 真水用ポリタンク:20リットルで1000円程度。複数個あると便利
– 防錆スプレー:「KURE」や「WD-40」などの防錆スプレーが有効。月1回程度の使用で、腐食を大幅に遅らせられます。価格は500~1000円程度
– ボディカバー:長期滞在の場合、ボディカバーをかけておくと、塩風から車を守れます。価格は2000~5000円程度
– 高圧洗浄機:本格的に塩を落としたい場合は、小型の高圧洗浄機が便利。価格は10000円前後
まとめ
車中泊でサーフィンをする魅力は、単なる「波を追う」ことだけではありません。波のコンディションに合わせて自由に移動でき、早朝の最高の波に出会い、地元のサーファーたちと交流し、その土地の文化を肌で感じる。こうした体験の積み重ねが、人生を本当に豊かにするんだなあ、と改めて感じています。
確かに、初めは失敗も多いでしょう。シャワー設備の不足、車の塩害、地元のマナーの違い…。でも、こうした失敗を通じて、本当に快適な車中泊サーフィンのスタイルが見えてくるんです。
妻と一緒に、これからも日本中の波を追い続けるつもりです。もし皆さんも同じような想いを持っているなら、ぜひ一度試してみてください。波の音を聞きながら目覚める朝、その時の清々しさと充実感は、何物にも代え難いものですよ。

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