岐阜の西の端、滋賀との県境に近い高台に、温泉まで徒歩1分という道の駅があります。湯から上がって、夜風に当たりながら自分の車まで歩いて帰れる。車中泊をする人間にとって、これ以上の立地はそうありません。
ただし、この駅には条件があります。明るいうちに着くこと。停める場所を選ぶこと。 この2つを守れた夜と、守れなかった夜とでは、まったく別の場所になります。この記事では、その分かれ目がどこにあるのかを、到着から翌朝まで、一晩の流れに沿って案内します。
道の駅 池田温泉とは?30秒で理解する
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 岐阜県揖斐郡池田町片山1953-1 |
| 電話 | 0585-45-0037 |
| 営業時間 | 10:00〜17:00(駐車場・トイレは24時間) |
| 定休日 | 水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始 |
| 駐車場 | 普通車59台・大型9台、4ヶ所に分散、全面平坦 |
| 温泉 | 隣接(本館・新館)、徒歩1〜2分、700円〜 |
| 24時間トイレ | あり(ウォシュレット完備) |
| 車中泊適性 | ◯ 条件付きの好スポット |
街を見下ろす高台にあり、車中泊歴25年・1000泊超の旅行家、稲垣朝則氏が「西濃地域の道の駅では車中泊に最も適している」と評価する駅です。一方で、夜になると別の顔を見せることでも知られています。順を追って書きます。
行く前に決めておくこと
この駅は、着いてから考える人に厳しく、着く前に決めてきた人に優しい場所です。出発前に固めておくのは4つ。
まず曜日。 隣の池田温泉は本館と新館の2館体制で、定休日が互い違いです。本館が月・火休み、新館が水・木休み、そして道の駅本体は水曜休み。つまり月・火に行けば新館の湯、木曜なら本館の湯、水曜は売店なしで本館のみ——何曜日に行くかで、入れる湯と買える物が決まります。 種類豊富な浴槽でのんびりしたいなら新館が開いている日を、静かな山手の湯が好みなら本館の日を選んでください。
次にルート。 揖斐川町方面からナビ任せで向かうと、車がすれ違えないほど狭い道に案内されることがあります。複数のドライバーが同じ目に遭っています。県道53号(岐阜関ヶ原線)からのアプローチに固定しておけば何も起きません。関ヶ原ICから20分、東海環状の大野神戸ICからなら10分です。
それから季節。 ここで意外と見落とされるのが、揖斐郡が豪雪地帯だということです。「岐阜だから」と夏タイヤで冬に来ると、帰れなくなります。12〜2月はスタッドレスが前提、寝袋も冬用を。逆に夏は、高台とはいえ標高が高いわけではないので、涼しい夜は期待しないでください。
最後に夕食。 道の駅の売店は17時に全店閉まります。夜に着いてから「何か食べるものを」は通用しません。夕食は後述の周辺スーパーで調達する前提で、買い出しの時間まで含めて到着時刻を逆算しておきましょう。理想は16時着です。
着いたら最初の10分|売店より先に、駐車位置
駐車場に入ったら、売店に吸い込まれる前にやることがあります。今夜寝る場所の確保です。
この駅の駐車場は一枚の広場ではなく、メイン棟のまわりと奥側を合わせて4ヶ所に分かれています。全面が気持ちよく平坦で、傾斜で体がずり落ちる心配はどこに停めてもありません。それでも、選ぶべきはメイン棟から離れた奥のサブ駐車場の一択です。理由は夜のセクションで書きますが、トイレと売店の前——夜の駐車場で人が集まるのは、明かりと建物のある場所と決まっています。
なぜ最初の10分なのか。温泉に入ったあとの自分を想像してみてください。湯で体がほどけて、車に戻って、さて停め直すか、とはならないものです。風呂上がりの自分は、もう何も判断したくない。 だから判断は、元気なうちに済ませておく。車中泊の段取りというのは、結局のところ「夜の自分への仕送り」です。
奥に停めると施設まで少し歩きます。その数十メートルを面倒と取るか、保険と取るか。夜になれば答えは出ます。
暗くなる前に済ませること(〜17時)
寝床が決まったら、ここからは明るい時間の楽しみです。
売店棟は10店舗が入る複合型で、中は迷路のようだと評されるほど。狙い目は1日限定20本のあん食パンです。地元では知られた人気で、土曜の朝には行列ができ、昼を待たずに売り切れることもあります。確実に欲しい人は事前予約を。もう一つ、大垣赤みそ味のたこ焼きという、この土地でしか出会えない一品もあります。
建物の外には無料の足湯。これがただの足湯ではなく、全国でも珍しい純重曹泉で、浸けた足がつるりとする感覚に驚く人が多いようです。本湯の予告編として、ぜひ。
そして忘れずに買い出しへ。ファミリーマートまで1.7km(車3〜4分)、スーパーのザ・ビッグエクストラまで2.4km(車5分)。夕食、酒、翌朝のコーヒーまで、必要なものは半径3kmですべて揃います。買い出しを終えて駐車場に戻ったら、いよいよ湯の時間です。
夕方から夜|温泉と、20時の駐車場
横断歩道を渡れば、もう温泉の入口です。新館は道の駅の真正面、本館は山手側を少し登ったところ。料金はどちらも平日700円、土日祝800円。
泉質は両館とも純重曹泉、いわゆる美肌の湯です。「肌がつるつるになる」という感想が口コミに繰り返し現れます。新館は壺湯、寝ころび湯、ジェットバスと浴槽の種類で楽しませるタイプ、本館は山の静けさで楽しませるタイプ。受付は21時半までですが、入るなら17時台をすすめます。 理由はこの後に書く、この駅のもう一つの顔にあります。
——複数の口コミサイトを読み込んでいくと、判で押したように同じ夜が出てきます。19時に車を停めて温泉へ。20時に上がって駐車場へ戻る。すると、たった1時間で、そこが暴走族の溜まり場に変わっていた。 車中泊マップRoadtripsに残るある報告には「バリバリうるさかった」とあります。深夜に場内を爆音で走り回る集団の記録も、明け方からバイクが集まり始めるという報告もある。別々の時期、別々のサイト、別々の利用者が、ほぼ同じ光景を書き残しているのです。
これは運の悪い人の災難ではなく、この駅の夜の仕様と考えるべきです。そして仕様なら、対策が立ちます。彼らが集まるのはメイン棟の前、明かりのある場所です。あなたの車はすでに奥のサブ駐車場にある。風呂も食事も済んでいる。あとは窓を閉めて、寝袋に入るだけ——最初の10分の判断が、ここで効いてきます。実際、同じ駅の宿泊記でも「夜間も静かに眠れた」という報告は存在していて、騒がしかった人と静かだった人を分けたのは、運ではなく駐車位置でした。
夜中に目が覚めても心配はいりません。トイレは24時間、ウォシュレット付きで、清潔だという評価が揃っています。冬の冷えた朝にこのありがたみは倍になります。
朝|この駅が一番いい顔をする時間
夜の話を長く書きましたが、この駅の本当の見せ場は朝です。
高台の駐車場からは池田町の街並みが見下ろせて、天気が良ければ金華山の方角まで視界が抜けます。夜のあいだ遠くに光っていた名古屋のビル群が、朝の光のなかで輪郭に変わっていく。湯上がりの夜と、静かな朝。この2つを味わうために泊まる価値のある駅です。
朝のうちに発つなら、動線は贅沢に組めます。関ヶ原古戦場まで車で20分。「岐阜のマチュピチュ」と呼ばれる天空の茶畑まで24分。夏から秋なら、ここで前泊して朝一番の伊吹山ドライブウェイへ向かう使い方が定番です。直売所は朝の品出し直後が一番充実しているので、10時の開店を待って野菜を積み込んでから出発するのもいい。
ここが合わないなら
最後に正直な話を。この駅が合わない人は、確かにいます。
土曜の夜に着く予定の人。 週末の夜はメイン駐車場のリスクが最も高く、到着が暗くなってからだと奥の枠が埋まっている可能性もあります。日程をずらせないなら、最初から別の駅を選ぶほうが賢明です。
静けさを何より優先する人、夜通し子どもを寝かせたい家族。 対策をしても、遠くのエンジン音まで消せるわけではありません。眠りの浅い人には向きません。
水曜に動いている人。 売店も新館も閉まっています。温泉だけなら本館に入れますが、この駅の魅力の半分はお休みです。
それでも、平日の明るい時間に着けるなら——徒歩1分の美肌の湯、24時間のウォシュレット、平坦な駐車場、3km圏の買い物環境がひとつの場所に揃った駅は、西濃にここしかありません。条件付きの好スポット、という言葉のとおりです。条件は、あなたが選べます。
基本情報
- 住所: 岐阜県揖斐郡池田町片山1953-1
- 電話: 0585-45-0037
- 営業時間: 10:00〜17:00(駐車場・トイレ24時間)/水曜定休
- 池田温泉: 新館=水・木定休/本館=月・火定休、11:00〜22:00(受付21:30)、平日700円・土日祝800円
- 公式サイト: https://www.ikedaonsen.jp/
- 最寄りIC: 大野神戸IC(東海環状)10分、関ヶ原IC(名神)20分



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