妻と二人で本州最西端を目指した先月の旅。山口県は私たちが予想していた以上に、車中泊旅人にとって最高の場所でした。瀬戸内海の穏やかな景色、歴史的な建造物、そして思いがけない出会い。今回は、実際に足を運んで感じた山口県の魅力と、これから車中泊を始める方に向けて、本当に役立つ情報をお届けしたいと思います。
山口県での車中泊の魅力とは?
瀬戸内海の絶景と歴史的スポットが集中
山口県を選んだ理由は、正直なところ「本州の西の端まで行ってみたい」という単純な動機からでした。しかし実際に訪れてみると、この地域の奥深さに驚かされました。瀬戸内海に面した北部から、山間部の秋吉台まで、わずか200km圏内に多彩な風景が凝縮されているんですよね。
特に感動したのは、角島大橋を渡った時の景色です。妻も「バックパッカー時代に見たタイの橋を思い出した」と言うほど。山口県は、日本国内にいながら、まるで海外旅行をしているような気分が味わえるんです。
夫婦で巡った山口県車中泊の旅で気づいたこと
子どもたちが独立してからの旅は、時間に縛られず、自分たちのペースで進められるのが最大の利点です。山口県での3週間の旅を通じて気づいたのは、「地元の方との会話が旅の質を大きく左右する」ということ。
萩の駅前で地元の漁師さんに声をかけられ、朝5時に漁港に案内してもらったことがあります。その時に食べた朝採れのウニ、いやはや、あの味は忘れられません。こうした予期しない出会いが、ガイドブックには載らない山口県の本当の魅力を教えてくれるんです。
山口県のおすすめ車中泊スポット5選
1. 角島大橋周辺(下関市)- 本州最西端の絶景を独り占め
角島大橋は、全長1,780mの無料の橋。本州と角島を結ぶこの橋の周辺には、複数の駐車場があります。最もおすすめなのは「道の駅 北浦街道豊北」で、ここなら夜間も駐車が可能です(ただし施設利用者向けが原則なため、事前確認をお勧めします)。
私たちが訪れたのは11月下旬で、夜中に目を覚ますと、満天の星が車の窓いっぱいに広がっていました。朝日が瀬戸内海を照らす景色も素晴らしく、妻は写真を撮るのに30分以上かかっていたほどです。ただし、冬場は風が強いので、ミニバンでも若干揺れることがあります。安全のため、できれば複数台での駐車をお勧めします。
設備情報:トイレあり、水道あり(冬場は凍結注意)、営業時間8:00~17:00(駐車場は24時間利用可能な場所もあるため、確認必須)
2. 周南市徳山動物園駐車場 – 設備充実で初心者向け
車中泊初心者にとって最も安心できるスポットが、周南市の徳山動物園周辺です。ここは公営駐車場で、夜間駐車が許可されており、トイレ・水道・照明が完備されています。
実は、私たちもこのスポットを「保険」として考えていました。初日の夜は天気が悪く、ここに駐車することにしたんです。設備の充実度に、妻も「これなら初めての車中泊でも安心だね」と言っていました。駐車料金は1泊500円程度(時期による変動あり)で、非常にリーズナブルです。
翌朝、動物園の開園前に散歩に出かけると、地元の方が何人も朝のジョギングをしていて、「あ、ここは地域の人にも愛されている場所なんだな」と実感しました。
設備情報:駐車料金500円程度/泊、トイレ完備、水道あり、照明あり、営業時間24時間
3. 萩城跡公園駐車場 – 歴史と自然が融合したスポット
江戸時代の城下町として栄えた萩。その中心にある萩城跡公園の駐車場は、車中泊スポットとしても知られています。ここの素晴らしさは、朝目を覚ますと、すぐに歴史的な景観が目に入ることです。
公園内には約3,000本の桜があり、春の季節は特に人気です。私たちが訪れた11月は観光客も少なく、静寂に包まれていました。夜間は街灯がほどよくあり、安全性も高いです。ただし、公園の営業時間外(夜間)の駐車については、事前に萩市の観光案内所に確認することをお勧めします。
設備情報:トイレあり(営業時間内)、駐車料金200~300円程度、夜間駐車については要確認
4. 錦帯橋周辺駐車場(岩国市) – 日本三名橋を眺める贅沢
日本三名橋の一つ、錦帯橋。この木造の美しい橋を眺めながら夜を過ごせるなんて、なんとも贅沢なことでしょう。岩国市には複数の駐車場があり、中でも「岩国城ロープウェイ駐車場」は夜間駐車が可能です。
妻と二人で橋を眺めながら夜明けを待ったのは、バックパッカー時代の思い出に匹敵する経験でした。特に、ライトアップされた橋の姿は、昼間とは全く異なる表情を見せてくれます。ただし、観光シーズンは混雑するため、早めの到着をお勧めします。
設備情報:駐車料金600円程度/日、トイレあり、水道あり、営業時間8:30~17:00(夜間駐車については事前確認必須)
5. 秋吉台サファリランド周辺 – カルスト台地の大自然に囲まれて
秋吉台は、日本最大級のカルスト台地。その独特の地形に囲まれながら車中泊ができるというのは、他では味わえない体験です。秋吉台サファリランド周辺には、公営の駐車場があり、夜間駐車が可能です。
この場所での失敗談を一つ。12月初旬に訪れた時、夜間の気温が予想以上に低く、結露がひどかったんです。朝起きると、窓が真っ白になっていて、妻は「これはちょっと困ったね」と。後ほど詳しく書きますが、この経験が私たちの冬対策を大きく改善させるきっかけになりました。
設備情報:駐車料金500円程度/泊、トイレあり、水道あり(冬場は利用不可の場合あり)、営業時間24時間(施設による)
山口県での車中泊で失敗しないための準備と注意点
季節ごとの気候対策と装備の工夫
山口県は瀬戸内海に面しているため、季節による気候の変動が大きいです。秋吉台での結露の失敗から学んだのは、「季節に合わせた装備が、快適さを大きく左右する」ということです。
秋(9月~11月):日中は暖かいですが、夜間の気温低下が急激です。毛布は必須。私たちは、100均で購入した断熱シートを窓に貼り、結露対策としました。
冬(12月~2月):秋吉台周辺では夜間気温が5℃以下になることもあります。石油ファンヒーターの使用を検討しましたが、一酸化炭素中毒の危険があるため、妻と相談して電気毛布と厚手の寝袋で対応することにしました。
春(3月~5月):花粉が多い時期です。車の窓を開けるのに工夫が必要です。
夏(6月~8月):高温多湿。網戸の準備と、夜間の通風確保が重要です。
地元ルールとマナーを守るために確認すべきこと
車中泊は、あくまで地元の方の協力があってこそ成り立つものです。山口県での経験から、特に重要だと感じたことをお伝えします。
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事前確認:駐車場の管理者に、夜間駐車が可能かどうかを必ず確認してください。公営駐車場でも、時期によってルールが変わることがあります。
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ゴミの処理:自分たちが出したゴミは、必ず持ち帰る。これは旅人のマナーの基本です。
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騒音対策:夜間の出入りや、朝の準備時の音に注意。特に、小型ポータブル電源の充電音などは思いのほか大きいものです。
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地域イベントの確認:萩城跡公園では、季節ごとにイベントが開催されます。事前にチェックして、混雑を避けるのが無難です。
実際に困ったこと – 冬場の結露対策と水場の確保
秋吉台での結露の失敗は、実は私たちにとって大きな学びになりました。朝起きると、フロントガラスはもちろん、サイドウィンドウまで真っ白。妻が「これはちょっと危ないね」と指摘してくれたおかげで、その日のうちに対策を講じることができました。
実施した対策:
– 窓の内側に段ボール製の断熱シートを貼付
– 就寝前に、小型の除湿機を運転(ポータブル電源で稼働)
– 夜間の通風を意識的に確保(わずかに窓を開ける)
また、冬場の水場の確保も予想外の課題でした。秋吉台周辺の水道は、12月中旬から凍結することがあります。歯磨きや洗顔に困ったため、ペットボトルに温水を用意しておくことにしました。
山口県で車中泊中に立ち寄りたい施設・温浴施設
コンビニ・スーパーの場所と営業時間
山口県での車中泊旅では、コンビニの位置把握が重要です。特に、夜間に必要なものが出てくることは珍しくありません。
角島大橋周辺:最寄りのコンビニは「セブン-イレブン下関豊北店」で、橋から車で約15分。営業時間は24時間です。
秋吉台周辺:「ローソン美祢秋吉台店」が比較的近く、営業時間は6:00~23:00。冬場は早めに閉店することもあるため、夕方の買い出しをお勧めします。
萩城跡公園周辺:市街地のため、コンビニが充実しています。「ファミリーマート萩江向店」など複数店舗があり、営業時間は24時間のところが多いです。
スーパーについては、朝市場を利用するのもおすすめです。萩の朝市では、地元の野菜や海産物が並び、地元の方との会話も弾みます。営業時間は7:00~12:00程度が目安です。
日帰り温浴施設のおすすめ3選
車中泊旅で欠かせないのが、温浴施設です。山口県には、素晴らしい温泉や銭湯が数多くあります。
1. 長門湯本温泉「恩湯」(長門市)
江戸時代から続く温泉地。「恩湯」は、地元の方にも愛される共同浴場です。料金は大人500円程度で、営業時間は6:30~21:30。泉質は単純温泉で、肌にやさしく、体の芯から温まります。妻も「バックパッカー時代に泊まった湯治場を思い出した」と言っていました。
2. 周南温泉「湯野温泉」(周南市)
徳山動物園からも近く、アクセスが良好です。料金は大人600円程度で、営業時間は10:00~21:00。泉質は炭酸水素塩泉で、疲労回復に効果的です。
3. 萩温泉郷「萩本陣」(萩市)
萩城跡公園からほど近い温泉施設。日帰り利用料金は大人1,000円程度で、営業時間は11:00~21:00。施設が新しく、設備が充実しているのが特徴です。
車中泊を快適にするDIY工夫と実際に使っている道具
サンシェードとカーテンで快適な寝床づくり
高価なガジェットよりも、工夫とDIYで快適さを作り出すというのが、私たちのモットーです。サンシェードとカーテンは、その最たる例です。
サンシェード:市販のものは3,000~5,000円程度しますが、私たちは100均の遮光カーテンを活用しています。サイズに合わせてカットし、マグネットで窓に固定するだけ。コストは500円程度で、効果は同じです。
カーテン:運転席と後部座席の間に、突っ張り棒とカーテンを設置しました。これにより、プライバシーが確保でき、冬場の断熱効果も高まります。妻が「これ、IKEAで見たカーテンと同じ効果だね」と言っていたほど。
朝日が昇る前に目を覚ましてしまうのを防ぐため、アイマスクの準備も忘れずに。
小型ポータブル電源で夜間の快適性を確保
ポータブル電源は、車中泊旅の必須アイテムです。私たちが使用しているのは、容量500Wh程度の小型タイプ。価格は5万円前後ですが、以下のような用途で活躍しています。
- スマートフォンの充電(1日1回、3~4日分)
- 小型の除湿機の稼働(結露対策)
- 電気毛布の使用(冬場の必需品)
- LED照明の点灯
実は、最初は「高いな」と躊躇していたのですが、妻が「これがあれば、夜間のトイレのためにわざわざ外に出る必要がないよ」と指摘してくれて、購入を決めました。その通りで、特に冬場は、車内にトイレ用の簡易便座を設置し、LED照明で照らしながら使用しています。衛生面でも心理的にも、安心感が全く違います。
実際に役立った100均グッズ3つ
1. 断熱シート(200円)
窓に貼付することで、冬場の結露を大幅に軽減できます。秋吉台での失敗後、全ての窓に貼付しました。効果は抜群です。
2. 網戸(300円)
春から秋にかけて、通風を確保しながらも虫の侵入を防ぎます。市販の網戸は高いですが、100均のものでも十分機能します。
3. 小型の除湿剤(100円×複数個)
ポータブル電源で除湿機を稼働させない時間帯に、複数の除湿剤を車内に置いておくと、結露が軽減されます。
これらのグッズの合計コストは1,000円程度。高価な装備を揃えるよりも、こうした工夫の積み重ねが、快適さを生み出すんだと改めて実感しました。
まとめ – 山口県は夫婦での車中泊旅に最高の場所
山口県での3週間の旅を通じて、私たちが最も感じたのは、「この土地が、私たちのような旅人を温かく迎えてくれている」ということです。角島大橋の絶景、萩の歴史、秋吉台の雄大な自然、そして何より、地元の方々との予期しない出会い。これらが全て揃っているのが山口県です。
子どもたちが独立した今だからこそ、時間に縛られず、自分たちのペースで旅ができる幸福感。バックパッカー時代の冒険心は、車中泊という形で今も息づいています。これから山口県での車中泊を計画されている方へ、私からのアドバイスは一つ。「完璧な準備よりも、柔軟な心を持って、その土地の魅力に身を任せてください」。
山口県は、そうした旅人の心を必ず満たしてくれる場所です。

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