妻と一緒に日本中を車中泊で巡る生活も、もう3年目に入りました。これまで北海道から沖縄まで訪れてきましたが、大分県は本当に魅力的な場所なんですよね。温泉、自然、美食——すべてが揃っていながら、意外と車中泊者向けの情報が少ないことに気づきました。そこで今回は、実際に何度も足を運んだ大分県での車中泊経験をもとに、おすすめスポットと快適に過ごすコツをお伝えしたいと思います。
大分県での車中泊の魅力とは?
大分県は、九州の東側に位置する温泉大国です。別府温泉、由布院温泉をはじめ、数え切れないほどの温泉地があります。いやはや、驚きました——初めて大分を訪れたとき、こんなに温泉が身近にあるなんて、と。
温泉地が豊富で疲れを癒せる
大分県最大の魅力は、何といっても温泉です。別府温泉だけでも約2,000本以上の源泉があり、日本一の湯量を誇っています。車中泊での移動は思った以上に体に負担がかかるもので、特に長距離運転をした日は首や腰が凝ります。そんなときに、手頃な料金で温泉に入れるのは本当にありがたいんですよね。
別府温泉の日帰り温泉施設は数百円程度の低料金で利用できるものが多く、私たちも頻繁にお世話になっています。一度、由布院温泉の露天風呂に浸かりながら、遠くの由布岳を眺めたときの感動は今でも忘れられません。妻も「こういう瞬間のために、私たちは旅をしているんだね」とつぶやいていました。
自然に囲まれた穴場スポットが多い
大分県は観光地として知られている一方で、まだまだ知られていない自然豊かなスポットが数多く存在します。九重山系、祖母山系の山々、そして豊後水道に面した海岸線——どれもが車中泊の拠点として最適です。
私たちが特に気に入っているのは、観光客で溢れかえる有名スポットではなく、地元の人たちが静かに楽しむような場所です。そういった場所では、他の旅人との出会いも自然で、時には地元の方からおすすめのお店や穴場スポットを教えてもらえるんですよね。バックパッカー時代と同じように、旅先での人間関係を大切にしたいという想いが、私たちの旅のスタイルを形作っています。
大分県で実際に泊まったおすすめ車中泊スポット5選
由布市の由布岳麓エリア
由布院温泉の北側、由布岳の麓には、いくつかの駐車スポットがあります。特におすすめなのは、「由布岳登山口駐車場」周辺です。ここは標高が高く、朝日が美しいんですよね。
2022年の秋、私たちはここで一夜を過ごしました。朝4時に目を覚ますと、東の空がうっすらと赤くなり始めていました。妻を起こして、車の外に出ると、由布岳のシルエットが浮かび上がり、その背後から太陽が昇ってくるのが見えました。写真を撮ろうとしましたが、その美しさを前に、しばらくはカメラを手に持ったまま立ち尽くしていました。
基本情報:
– 所在地:大分県由布市湯布院町
– 駐車可能台数:約20台程度
– トイレ:登山口に完備
– 料金:無料
– 注意点:登山客が早朝から出入りするため、朝7時以降は混雑します
別府温泉周辺のパーキングエリア
別府温泉の中心部から少し離れた場所に、「別府海浜公園」があります。ここは海に面した広大な公園で、駐車場も広く、車中泊に適しています。
ただし、ここで失敗した経験があるんです。初めて訪れたときは、夜間でも駐車できると思い込んでいたのですが、実は夜間は駐車禁止でした。管理人に丁寧に説明していただき、近くの別府市営駐車場を紹介してもらいました。その時の申し訳なさといったら——。それ以来、私たちは事前に施設の営業時間や駐車ルールを必ず確認するようにしています。
別府温泉の日帰り温泉施設は、ほぼ全て24時間営業ではありませんが、朝6時から営業しているところが多いので、朝風呂を楽しむことができます。「竹中温泉」や「別府温泉保養ランド」などは、料金も手頃(約600~800円)で、設備も充実しています。
基本情報:
– 所在地:大分県別府市大字北浜
– 駐車可能台数:約100台以上
– トイレ:公園内に完備
– 料金:駐車料金は施設によって異なります(1回200~500円程度)
– 注意点:夜間の駐車ルール確認が必須
国崎半島の海沿いスポット
大分県の東部、国崎半島は豊後水道に面した景勝地です。「国崎半島展望台」周辺には、小さな駐車スペースがあり、ここから見える海の景色は本当に素晴らしいんですよね。
ここで泊まった夜のことです。夜中に目が覚めて、車の窓を開けると、潮の香りが漂ってきました。懐かしい香りでした。バックパッカー時代、東南アジアの海辺で寝袋で寝ていたときのことを思い出しました。妻に「昔を思い出したよ」と言うと、妻も「私たちもあの頃みたいに、冒険心を忘れずにいたいね」と返してくれました。
ただし、このエリアは風が強いことが多いので、注意が必要です。特に秋から冬にかけては、突風が吹くことがあるので、ミニバンでも揺れることがあります。
基本情報:
– 所在地:大分県豊後大野市
– 駐車可能台数:約10台程度(小規模)
– トイレ:展望台にあり
– 料金:無料
– 注意点:風が強い日が多いため、天気予報の確認が必須
豊後高田市の昭和の町周辺
「昭和の町」は、レトロな建物が立ち並ぶ観光地として知られています。ここから車で15分ほど離れた場所に、「真玉海岸」という静かなビーチがあります。このエリアの駐車スペースは、観光客も少なく、穴場的な車中泊スポットなんですよね。
2023年の初夏、私たちはここで3泊しました。昼間は「昭和の町」を散策し、懐かしい駄菓子屋や古い映画館を見学しました。夜は真玉海岸に行き、夕焼けを眺めました。地平線に沈む太陽が、海面をオレンジ色に染める景色——言葉では表現しきれないほど美しかったです。
地元の食堂で食べた「豊後高田唐揚げ」も忘れられません。醤油ベースの秘伝のタレで、肉がジューシーに仕上がっていました。妻も「これ、毎日食べたい」と言っていたほどです。
基本情報:
– 所在地:大分県豊後高田市
– 駐車可能台数:約30台程度
– トイレ:昭和の町内に複数あり
– 料金:無料(昭和の町の施設利用時は別途料金)
– 注意点:昼間は観光客で混雑するため、早朝または夕方以降の到着がおすすめ
九重町の山間部スポット
九重町は、九州の屋根として知られる九重山系に囲まれた町です。「筋湯温泉」周辺には、山間の静かな駐車スペースが複数あります。
ここは標高が高く(約800m)、夏でも涼しいんですよね。真夏の暑さから逃れたいときに、私たちはよくここに来ます。2023年の8月、気温が35℃を超えた日のこと——別府は蒸し蒸ししていたのに、ここではエアコンなしでも快適に寝られました。
ただし、冬は積雪の可能性があるため、11月から3月にかけては慎重に判断する必要があります。私たちも一度、予想外の雪に見舞われて、焦ったことがあります。その時は、スタッドレスタイヤに交換していたおかげで無事でしたが、いやはや、驚きました。
基本情報:
– 所在地:大分県玖珠郡九重町
– 駐車可能台数:約20台程度
– トイレ:筋湯温泉内に完備
– 料金:無料(温泉利用時は約500~700円)
– 注意点:冬季は積雪の可能性があるため、タイヤチェーンやスタッドレスタイヤの準備が必須
大分での車中泊で気をつけるべきマナーと注意点
温泉地でのルール確認が必須
大分県は温泉地が多いため、各地で独自のルールが定められていることがあります。例えば、別府温泉の一部地域では、夜間の駐車が禁止されていたり、特定の時間帯のみ駐車可能だったりします。
私たちは、新しい場所に到着したら、まず管理人さんや地元の方に「ここで車中泊しても大丈夫ですか?」と丁寧に尋ねるようにしています。最初はシャイなので、声をかけるのに勇気が必要でしたが、ほとんどの方が親切に教えてくれます。そして、その過程で地元の情報を得られることもあるんですよね。
また、温泉地の近くで車中泊する場合、温泉の湯気や硫黄臭が車に付着することがあります。これ自体は問題ありませんが、長期間滞在する場合は、定期的に車を移動させるか、通気性を確保することをおすすめします。
季節ごとの天候対策と準備物
大分県は、季節ごとに天候が大きく変わります。特に注意が必要なのは、梅雨時期(5月~6月)と台風シーズン(8月~10月)です。
梅雨時期は、予想以上に湿度が高くなります。2022年の6月、別府周辺で車中泊したときのことですが、朝起きると窓が結露でびっしり濡れていました。これは、室内と室外の気温差が大きいためです。対策としては、窓を少し開けて通気性を確保するか、除湿機を使用することをおすすめします。
台風シーズンは、特に沿岸部での車中泊は避けるべきです。豊後水道に面した国崎半島や、真玉海岸などは、台風時には非常に危険です。私たちは、天気予報を毎日確認し、台風が近づいている場合は、内陸部の方へ移動するようにしています。
冬季は、九重町などの山間部では積雪の可能性があります。スタッドレスタイヤの準備、そして十分な暖房対策(毛布、寝袋など)が必須です。
季節別の準備物チェックリスト:
– 春(3月~5月):軽い羽織もの、除湿機
– 夏(6月~8月):網戸、扇風機、虫よけ
– 秋(9月~11月):毛布、天気予報アプリ
– 冬(12月~2月):スタッドレスタイヤ、寝袋、電気毛布
車中泊を快適にするために実際に使っているアイテムと工夫
持ってきて良かった便利グッズ
車中泊を快適にするために、私たちが特に重宝しているアイテムをいくつかご紹介します。
ポータブル電源:これは本当に買ってよかったアイテムです。容量500Whのものを使用していますが、スマートフォンの充電はもちろん、ノートパソコン、電気毛布まで使用できます。別府や由布院で日中に充電しておけば、夜間は十分に使用できます。価格は5万円程度ですが、快適さを考えると投資する価値があります。
車用網戸:夏場、車の窓を開けたいときに非常に便利です。虫が入ってくるのを防ぎながら、通気性を確保できます。Amazonで2,000円程度で購入できます。
小型の扇風機:USB充電式の小型扇風機は、夏の蒸し蒸しした夜に活躍します。妻は、これなしでは夏の車中泊は考えられないと言っています。
シガーソケット充電器:複数のUSBポートを備えたものを使用しています。スマートフォン、ポータブル電源、その他の電子機器を同時に充電できます。
DIYで作った自作アイテム
高価なガジェットも大切ですが、私たちは工夫とDIYで快適な空間を作ることを重視しています。
断熱パネル:冬の寒さ対策として、ダンボール箱を加工して、窓に取り付ける断熱パネルを作りました。作り方は簡単で、ダンボール箱をカッターで車の窓のサイズに切り、その裏側にアルミシートを貼り付けるだけです。材料費は500円程度ですが、効果は抜群です。朝の冷え込みが全然違います。
車内用テーブル:木の板と折り畳み式の脚を組み合わせて、簡易的なテーブルを作りました。ここで朝食を食べたり、ノートパソコンで仕事をしたりしています。材料費は2,000円程度です。
収納ボックス:プラスチックのコンテナボックスに、ラベルを貼って、食材や衣類を整理しています。これにより、車内をスッキリ保つことができます。
シャワーバッグ:温泉に入った後、汚れた衣類や濡れたタオルを入れるために、防水のシャワーバッグを使用しています。これがあると、車内が汚れるのを防ぐことができます。
これらのアイテムは、全てホームセンターや100円ショップで材料を揃えることができます。自分たちで工夫して作ることで、より愛着が湧きますし、何より費用を抑えることができるんですよね。
まとめ
大分県は、温泉、自然、美食が揃った、車中泊に最適な場所です。別府や由布院などの有名温泉地から、国崎半島や真玉海岸などの穴場スポットまで、様々な魅力があります。
私たちが3年間の旅を通じて学んだことは、高価なアイテムや豪華な施設よりも、地元の方との人間関係、そして季節ごとの自然の変化を感じることが、旅の本当の豊かさなのだということです。大分県での車中泊は、そういった経験を与えてくれる場所です。
もし、あなたが車中泊に興味を持っているなら、ぜひ大分県を訪れてみてください。ルールを守り、マナーを大切にしながら、自分たちのペースで旅を楽しむ——それが、私たちの旅のスタイルです。妻と一緒に、これからも日本中を巡る旅を続けていきたいと思っています。

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