妻と一緒に日本中を巡る車中泊の旅も、気がつけば3年目に突入しました。これまで北は北海道、南は沖縄まで訪れてきましたが、三重県はいやはや、何度訪れても飽きない場所なんですよね。伊勢神宮の歴史、熊野古道の神聖さ、そして新鮮な海の幸。それなのに、意外と車中泊スポットについての情報が少ないと感じていました。そこで今回は、実際に泊まった5つのおすすめスポットと、三重での車中泊を快適にするコツをお伝えします。
三重県での車中泊の魅力とは?
伊勢志摩の海と歴史が織りなす独特の環境
三重県は、日本を代表する聖地・伊勢神宮から、太平洋に面した雄大な海岸線、そして内陸の山々まで、実に多様な顔を持っています。バックパッカー時代に世界中を旅した私ですが、こうした多様性を一つの県で感じられるのは、日本ならではだと改めて実感します。
特に伊勢志摩エリアは、古来より「神の国」として信仰されてきた場所。参拝客で賑わう伊勢神宮周辺もいいですが、実は少し足を延ばすと、観光客の少ない静かな海岸線に出会えるんです。そこで車中泊をすると、朝日が海から昇る光景を独り占めできます。いやはや、この景色のためだけに三重を訪れる価値があるほどです。
妻と訪れて感じた三重県の温かさ
昨年の11月、妻と二人で三重を訪れた際の出来事が忘れられません。南紀勝浦の道の駅で朝食を買おうとしていた時、地元の漁師さんが話しかけてくださったんです。「どこから来たんや?」という何気ない一言から始まった会話は、30分以上続きました。その方は、新鮮なマグロを「食べてみ」と勧めてくださり、その場で試食させてくれたんですよね。
こうした温かい出会いが、三重県の魅力の大きな部分を占めていると感じます。地元の方々が旅人を受け入れてくださる姿勢は、マナーを守った車中泊者に対しても好意的です。子供たちが独立してから、妻と二人で感じる「人とのつながり」を大切にしたいと考えている私たちにとって、三重県はまさに理想的な目的地なんです。
三重県で実際に泊まったおすすめ車中泊スポット5選
伊勢志摩エリア:海の絶景を独り占めできるスポット
おすすめスポット:安乗埼灯台周辺(志摩市)
伊勢志摩の中でも、特に穴場だと感じるのが安乗埼灯台周辺です。灯台の麓には駐車スペースがあり、朝日が昇る瞬間に太平洋が金色に輝く光景は、本当に息を呑むほどの美しさです。
料金は無料。トイレも完備されており、水道も利用できます。ただし、夜間は真っ暗になるため、懐中電灯は必須です。我が家は初めて泊まった時、懐中電灯を忘れてしまい、スマートフォンの明かりで過ごすはめになりました。いやはや、恥ずかしい失敗ですが、こういった経験が大切なんですよね。
朝6時30分頃から朝日が昇り始めます。妻と一緒に、温かいコーヒーを片手に日の出を待つ時間は、本当に贅沢です。周辺には「志摩スペイン村」や「真珠博物館」もあり、昼間の観光も充実しています。
熊野古道周辺:自然と歴史を感じながらの車中泊
おすすめスポット:熊野古道・馬ヶ峰登山口駐車場(尾鷲市)
熊野古道は、古来より修験者や参詣者が歩んできた神聖な道。この周辺での車中泊は、単なる宿泊ではなく、歴史を身近に感じる貴重な体験になります。馬ヶ峰登山口の駐車場は、無料で利用でき、トイレも完備されています。
駐車スペースは約10台程度。朝4時頃から、熊野古道を歩く修行者や参詣者が通り始めます。この光景を見ていると、自分たちも何か神聖な体験をしている気になるんですよね。妻も「昔の人もこの道を歩んだんだと思うと、不思議な気持ちになる」と話していました。
周辺には熊野古道の複数のコースがあり、1時間程度の軽いハイキングから、本格的なトレッキングまで楽しめます。我が家は2時間コースを選び、樹齢数百年の杉林の中を歩きました。その後、温泉施設「ホテル季の座」(大人1,200円)に立ち寄り、汗を流すのが定番コースになっています。
鈴鹿山脈麓:山好きにはたまらない穴場スポット
おすすめスポット:鈴鹿スカイライン周辺駐車場(いなべ市)
山が好きな方には、鈴鹿山脈麓での車中泊を強くおすすめします。鈴鹿スカイラインの登山口付近には、複数の無料駐車場があり、車中泊に適した環境が整っています。
この場所の魅力は、夜間の星空です。標高が約800メートルと高く、光害も少ないため、本当に満天の星を見ることができます。私たちが訪れた2月の夜間は、肉眼でも天の川がはっきり見えました。妻が「こんなに星が見えるなんて、都会にいた時は忘れていた」と感動していた姿が印象的です。
駐車場の利用は無料ですが、トイレは近くの登山道入口にあり、やや距離があります。水道施設もないため、飲用水は事前に用意しておくことをおすすめします。朝は標高の高さから、雲の上に太陽が昇る「雲海」現象も見られることがあります。これは季節限定(秋から冬)の現象なので、狙うなら11月から2月がベストです。
名張・伊賀エリア:温泉施設が近い便利なポイント
おすすめスポット:赤目四十八滝駐車場周辺(名張市)
名張市の赤目四十八滝は、日本の滝100選に選ばれた景勝地。この周辺の駐車場は、夜間駐車が許可されており、車中泊に適しています。料金は無料で、トイレ、水道も完備されています。
何より便利なのは、近くに温泉施設が複数あることです。「赤目温泉」(大人800円)や「忍者の湯」(大人600円)など、リーズナブルな価格で温泉を楽しめます。車中泊での最大の課題は入浴ですが、このエリアではそれが解決できるんです。
赤目四十八滝の遊歩道は約4キロメートル。滝を巡りながら歩くコースは、初心者でも楽しめます。妻と一緒に歩いた時は、約90分で全コースを回りました。帰りに温泉に浸かり、その後、道の駅で地元野菜を買って、ミニバンで夕食を作り食べる。こういった一連の流れが、本当に心地よいんですよね。
南紀勝浦:マグロの町で新鮮な朝食を楽しむ
おすすめスポット:勝浦漁港周辺駐車場(那智勝浦町)
南紀勝浦は、日本有数のマグロの水揚げ港。ここでの車中泊の最大の魅力は、新鮮なマグロを使った朝食が手に入ることです。漁港の近くには無料駐車場があり、朝5時頃から漁港が活気づき始めます。
駐車場の利用は無料ですが、夜間は真っ暗で、トイレ施設も限定的です。水道は漁港の公共施設にあります。朝6時頃になると、地元の鮮魚店が営業を始め、その日の朝に水揚げされたばかりのマグロを購入できるんです。
我が家は、マグロの中トロを購入し(約500グラム2,000円)、ミニバンの小型ガスコンロで軽く炙って食べました。いやはや、これ以上に新鮮で美味しい朝食があるでしょうか。妻も「こんなの、レストランでは絶対に味わえない」と大満足でした。
また、近くの「勝浦温泉」(大人1,200円)も利用できます。朝食後、温泉に浸かり、その後、熊野那智大社の参拝に向かうというコースが、我が家の定番になっています。
三重での車中泊を快適にするための工夫とアイテム
実際に役立った季節別の準備物
三重県は四季の変化が明確で、季節によって必要な準備物が大きく異なります。我が家が3年間の経験から編み出した、季節別の準備物リストをご紹介します。
春(3月~5月):この季節は気温が15~20℃程度で、比較的過ごしやすいです。ただし、朝晩は冷え込むため、薄手の羽織物が必須です。我が家は「フリースジャケット」と「軽量ブランケット」を常備しています。また、春は花粉が多いため、車内の空気清浄機(約3,000円のコンパクトタイプ)も役立っています。
夏(6月~8月):海沿いのエリアでも、車内は40℃を超えることがあります。扇風機だけでなく、「ポータブルクーラーボックス」(約5,000円)を導入してからは、食材の傷みが格段に減りました。また、虫よけスプレーと蚊帳も必須です。実は去年の7月、蚊帳を忘れて泊まった時は、蚊に刺されまくって、翌日の観光が台無しになってしまいました。
秋(9月~11月):この季節は車中泊に最適です。気温も安定し、湿度も低いため、快適に過ごせます。ただし、朝晩の気温差が大きいため、「電動ブランケット」(約2,000円)があると便利です。妻は特にこの季節が好きで、「秋の三重は本当に心地よい」と毎年言っています。
冬(12月~2月):最も対策が必要な季節です。夜間の気温は5℃前後まで下がることもあります。我が家は「車中泊用の断熱マット」(約8,000円)と「シュラフ(寝袋)」を導入しました。また、「湯たんぽ」(約1,000円)も重宝しています。ただし、一酸化炭素中毒の危険があるため、エンジンをかけたままでの暖房は絶対に避けてください。
初心者が陥りやすい失敗と対策
車中泊を始めたばかりの方が陥りやすい失敗を、我が家の経験から3つご紹介します。
失敗1:駐車場選びの誤り
最初の頃、我が家は「駐車できれば大丈夫」という安易な考えで、夜中に民間の駐車場に停めてしまったことがあります。翌朝、駐車場の管理人さんから「ここは24時間駐車禁止です」と注意されてしまいました。今では、事前に「道の駅」「RVパーク」「公営駐車場」など、夜間駐車が許可されている場所を確認してから向かうようにしています。
失敗2:トイレ・水道の確認不足
初めて熊野古道周辺に泊まった時、周辺にトイレがないと思い込んでいました。実は、登山道入口から200メートル程度の場所にトイレがあったんですが、事前の調査不足で知りませんでした。今では、到着前に必ずGoogleマップやWebサイトで施設情報を確認しています。
失敗3:食材の傷み
特に夏場は、クーラーボックスなしで食材を持ち込むと、半日で傷んでしまいます。最初の頃、妻がせっかく用意した野菜が傷んでしまい、がっかりしていました。それ以来、ポータブルクーラーボックスを導入し、朝食用の食材は前夜に購入するようにしています。
三重県の車中泊で気をつけるべきマナーと情報
駐車場選びのポイント
三重県での車中泊を継続するためには、マナーが何より大切です。駐車場選びは、その第一歩となります。
許可された場所での駐車
RVパークや道の駅、公営駐車場など、夜間駐車が明確に許可されている場所を選ぶことが基本です。三重県内には、約15箇所のRVパークがあります。料金は1泊2,000~4,000円程度ですが、トイレ、水道、電源などの設備が整っているため、初心者には特におすすめです。代表的なものとしては、「RVパーク伊勢」(1泊3,000円)や「RVパーク南紀勝浦」(1泊2,500円)があります。
道の駅での駐車も一般的ですが、施設によって夜間駐車のルールが異なります。必ず到着時に管理人さんに確認しましょう。
騒音と排気ガスの配慮
特に夜間は、エンジン音を最小限にすることが大切です。朝のエンジン始動時も、周辺の方に配慮して、ゆっくり始動させるようにしています。また、トイレ使用時も、深夜は音量を抑えるなど、細かい気配りが必要です。
地元の方との付き合い方と環境配慮
我が家が3年間、三重県に何度も訪れられるのは、地元の方との良い関係が築けているからだと感じています。
挨拶と感謝の気持ち
駐車場に到着した時と出発時には、必ず挨拶をするようにしています。「こんにちは、今晩お世話になります」という一言が、相手に与える印象は本当に大きいんです。特に道の駅の管理人さんとの関係が良好になると、「今夜、この近くで何か良いスポットはありますか?」という相談にも親身に乗ってくださいます。
ゴミの持ち帰り
これは車中泊の鉄則ですが、どんなに小さなゴミでも持ち帰ります。我が家は、出発時に駐車場周辺を軽く清掃することもあります。こうした姿勢が、地元の方に「この人たちは信頼できる旅人だ」と認識していただけるんですよね。
地元産品の購入
可能な限り、地元の農産物や水産物を購入するようにしています。これは環境配慮というより、地域経済への貢献という意味合いが大きいです。また、地元産品を食べることで、その土地をより深く理解できるという利点もあります。
まとめ
三重県での車中泊は、単なる「安い宿泊」ではなく、日本の歴史、文化、自然、そして人とのつながりを感じられる、本当に貴重な体験です。伊勢神宮の参拝から始まり、熊野古道の神聖さ、海の絶景、そして地元の方との温かい出会い。子供たちが独立してから、妻と二人で感じるこうした体験は、何物にも代え難いものです。
初心者の方は、まずは「伊勢志摩エリア」や「名張・伊賀エリア」の、設備が充実した駐車場から始めることをおすすめします。そして、マナーを守り、地元の方に感謝する気持ちを忘れずに。そうすれば、三重県は何度訪れても、新しい発見と温かい出会いをもたらしてくれるはずです。
いやはや、これまで世界中を旅してきた私ですが、今は日本、そして三重県の良さを改めて実感しています。ぜひ、皆さんも三重での車中泊を通じて、この素晴らしい県の魅力を発見してみてください。

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