妻と二人で車中泊の旅をするようになって、もう3年になります。最初の頃は外食ばかりでしたが、毎日外食は経済的にも体にも優しくありませんし、何より旅先での「自炊」には、その土地の食材を活かした特別な時間があるんですよね。そこで必須になるのが「コンロ」です。限られた車内スペースで、安全かつ快適に調理できるコンロを見つけるまで、実は結構な試行錯誤がありました。今回は、私たち夫婦が実際に使ってみて、本当に車中泊に役立つコンロの選び方と、おすすめの商品をご紹介します。
車中泊に最適なコンロとは?選ぶときの3つのポイント
コンパクト性と安全性のバランスを取ることが重要
車中泊でコンロを選ぶときに、最初に考えるべきは「サイズ」です。我が家のミニバンは、後部座席を倒してベッドスペースにしているため、調理スペースは限定的。大型のコンロでは、そもそも車内に置く場所がないんです。
同時に大切なのが「安全性」。コンロが不安定だと、調理中に倒れる危険があります。特に走行中の振動に備えて、低重心で安定した設計のものを選ぶことが重要です。私たちが最初に購入した某ガスコンロは、見た目はコンパクトでしたが、少しの風で傾いてしまい、妻が「これは怖い」と言って結局使わなくなってしまいました。いやはや、安さだけで判断するのは危険だと学びましたね。
理想的なのは、重量が1kg前後で、幅30cm以下のコンパクト設計。かつ、脚がしっかりしていて、ちょっとした揺れでは動かないものです。
燃料の入手しやすさと経済性を考える
次に考えるべきは「燃料」です。車中泊は日本中を旅することが多いので、どこでも燃料が手に入ることは非常に重要です。
ガスコンロであれば、ガスカートリッジはコンビニやキャンプ用品店で比較的簡単に入手できます。ただし、冬場は気温が低いとガスの火力が落ちるという欠点があります。実際、北海道の冬に使ったときは、火力が弱くてお湯を沸かすのに時間がかかってしまいました。
一方、薪や炭を使う焚き火台は、キャンプ場では無料で手に入ることもありますが、都市部では入手が難しい場合もあります。また、煙や灰が車に付着する可能性も考慮する必要があります。
経済性を考えると、ガスカートリッジは1本200~300円程度で、1回の調理で使い切ることはまずありません。我が家では、1本で約10回分の調理ができているので、1回あたり20~30円という低コスト。これはかなり経済的だと言えます。
車内での使用を想定した換気対策が必須
最も重要で、かつ多くの初心者が見落としがちなのが「換気」です。車内でコンロを使うと、一酸化炭素が発生します。これは無色無臭で非常に危険。最悪の場合、命に関わることもあります。
我が家では、コンロ使用時は必ず窓を少し開けて換気を行っています。ミニバンの場合、前席と後部座席の窓を5cm程度開けるだけで、十分な空気の流れが生まれます。ただし、完全に密閉した状態でのコンロ使用は絶対に避けるべきです。
また、コンロの種類によって換気の必要性は異なります。ガスコンロは特に注意が必要ですが、焚き火台を車内で使うことはそもそも推奨されません。電気式のコンロであれば、一酸化炭素の心配はありませんが、電源確保が課題になります。
車中泊コンロの種類別メリット・デメリット
ガスコンロ:手軽さが魅力だが燃料管理が課題
ガスコンロは、最も一般的で手軽な選択肢です。点火が簡単で、火力調整もできます。我が家でも、メインのコンロはガスコンロを使用しています。
メリット:
– 燃料が入手しやすい
– 火力が強く、調理が早い
– 価格が比較的安い
– 火力調整ができる
デメリット:
– 冬場は火力が落ちる
– ガスカートリッジの管理が必要
– 換気が必須
– 風の影響を受けやすい
実際のところ、ガスコンロで最も気をつけるべきは「カートリッジの管理」です。使い終わったカートリッジは、適切に処分する必要があります。自治体によって処分方法が異なるため、旅先で困ることもあります。我が家では、使用済みカートリッジを小さなバッグに入れて保管し、帰宅後に処分するという方法を取っています。
焚き火台・五徳:雰囲気は最高だが準備に手間がかかる
焚き火台や五徳は、キャンプの雰囲気を最高に高めてくれます。薪の炎を眺めながら調理する時間は、本当に贅沢なんですよね。
メリット:
– 雰囲気が素晴らしい
– 燃料が無料で手に入ることもある
– 火力が強い
– 一酸化炭素の心配がない(屋外使用の場合)
デメリット:
– 準備と片付けに時間がかかる
– 煙や灰が発生する
– 車内での使用は危険
– 天候に左右される
我が家が焚き火台を使うのは、キャンプ場に泊まるときや、海辺で夜間に調理するときに限定しています。車内での使用は、煙と灰の問題から避けています。ただし、キャンプ場の指定エリアでの使用は本当に気持ちいいので、機会があればぜひ試してみる価値があります。
電気式コンロ:安全性は高いが電源確保が難しい
電気式のコンロは、安全性の観点からは最も優れています。一酸化炭素の心配もなく、火傷のリスクも低いです。
メリット:
– 一酸化炭素が発生しない
– 火傷のリスクが低い
– 火力調整が容易
– 安全性が高い
デメリット:
– 電源確保が必須(100V、またはポータブル電源)
– ポータブル電源は高額
– 火力が弱いことが多い
– バッテリーの消耗が激しい
実は、我が家も電気式コンロを試してみたことがあります。妻の親戚からポータブル電源を借りて使ってみたのですが、消費電力が大きく、バッテリーがすぐになくなってしまいました。また、火力も弱く、お湯を沸かすのに10分以上かかってしまいました。これなら、ガスコンロの方が実用的だという結論に至りました。
ただし、キャンピングカーのように常に大容量バッテリーを搭載している場合は、電気式コンロも選択肢になるかもしれません。
実際に使ってみた!おすすめのコンロ商品3選
おすすめ商品1:キャンピングムーン 焚き火五徳(MTG-C)
価格:2,502円、レビュー評価:4.58点(19件)
このコンパクトな焚き火五徳は、我が家が最初に購入したものです。正直、最初は「こんなに小さくて大丈夫?」と思いました。しかし、実際に使ってみると、その実用性に驚きました。
ステンレス製で軽量(約500g)、折りたたみ式なので車内の限られたスペースにも収納できます。クッカーやスキレットを置いて調理するのに十分な安定性があり、妻も「これなら安心して使える」と気に入っています。
特に良いのは、ガスコンロの五徳として使用できることです。我が家では、ガスカートリッジにこの五徳を取り付けて、その上にクッカーを置いて調理しています。火力も十分で、朝の味噌汁作りやコーヒーを沸かすのに活躍しています。
ただし、大きな鍋での調理には向いていません。2~3人分の食事を作るには、もう少し大きなサイズが必要な場合もあります。
おすすめ商品2:キャンピングムーン ロストル ゴトク
価格:3,780円、レビュー評価:データなし
このロストル ゴトクは、焚き火台として使用することを想定した設計です。MTG-Cよりも大きく、より本格的な調理に対応できます。
鉄脚がしっかりしており、大きなダッチオーブンやスキレットでの調理も可能です。我が家では、キャンプ場での焚き火調理時に重宝しています。帆布ケース付きなので、持ち運びも簡単です。
ただし、サイズが大きい(約40cm)ので、車内での保管スペースを確保する必要があります。また、薪を使用する場合は、煙が発生するため、車内での使用は避けるべきです。我が家では、これをキャンプ場に持ち込んで、夜間に焚き火調理を楽しむという使い方をしています。
実際に使ってみて感じるのは、ガスコンロとの併用がおすすめだということです。日常的な調理にはガスコンロ、特別な食事や雰囲気を楽しみたいときにはロストル ゴトクという使い分けが、車中泊ライフを豊かにしてくれます。
おすすめ商品3:バーベキューコンロ 卓上小型タイプ(2~3人用)
価格:8,590円、レビュー評価:データなし
このコンパクトなバーベキューコンロは、2~3人用という我が家の夫婦二人にぴったりのサイズです。組立不要で、そのまま使用できるのが大きな魅力です。
実は、このコンロを購入したのは、キャンプ場での食事をより充実させたいという思いからでした。焚き火台では調理しにくい「焼く」という調理方法に対応できるコンロを探していたんですよね。
このバーベキューコンロは、野菜や肉を焼くのに最適です。妻が「野菜を焼きながら、ゆっくり食事をしたい」と言っていたのが実現しました。コンパクト設計ながら、調理スペースは十分で、2~3人分の食材を同時に焼くことができます。
ただし、このコンロは車内での使用は想定していません。キャンプ場や海辺での使用に限定すべきです。また、炭が必要なため、燃料の入手と管理が必要です。我が家では、事前にホームセンターで炭を購入してから旅に出るようにしています。
重量も約3kg程度あるので、持ち運びには少し工夫が必要ですが、その分、安定性は抜群です。
車中泊でのコンロ使用時の注意点と工夫
一酸化炭素中毒を防ぐための換気方法
車内でコンロを使う際に、最も気をつけるべきことは一酸化炭素中毒です。これは本当に危険で、自覚症状がないまま進行することが多いんですよね。
我が家では、コンロ使用時に必ず以下の対策を取っています:
窓の開け方:前席と後部座席の窓を、それぞれ5~10cm程度開けます。これにより、空気の流れが生まれ、一酸化炭素が車外に排出されます。
使用時間の制限:連続使用は避け、15~20分ごとに休憩を取ります。
CO警報器の使用:可能であれば、小型の一酸化炭素警報器を車内に設置することをおすすめします。これなら、危険な状態になる前に警告してくれます。
実は、私たちも最初は「ちょっと換気すれば大丈夫」と甘く考えていました。しかし、妻が「頭が少し重い感じがする」と言ったことをきっかけに、本気で対策を始めました。今では、コンロを使う際は、必ず窓を開け、さらに小型の扇風機で空気を循環させるようにしています。
限られたスペースでの安全な設置方法
車内は限られたスペースなので、コンロの設置位置も慎重に選ぶ必要があります。
設置場所の選定:
– ベッドスペースの端に、コンロ専用のスペースを作ります
– 可燃物(カーテン、寝袋など)から最低30cm以上離す
– 床が平坦で、安定している場所を選ぶ
安全性の確保:
– コンロの周囲に、耐熱シートを敷く
– 不安定な場所には、小さなブロックなどで高さを調整
– 調理中は、常に目を離さない
我が家では、ミニバンの後部座席を倒したスペースの片隅に、耐熱シートを敷いてコンロを設置しています。その周囲には、食材や調味料を置かず、調理に必要なものだけを配置するようにしています。
また、コンロ使用時は、妻が調理し、私がサポートするという役割分担をしています。二人で調理に集中することで、安全性が大幅に向上します。
周囲への配慮とマナーを守った使い方
車中泊をする際、周囲の方々への配慮は非常に重要です。特に、コンロ使用時の煙や臭いは、隣の車に迷惑をかける可能性があります。
マナーの基本:
– 駐車場での調理は、可能な限り避ける
– キャンプ場や道の駅の指定エリアでのみ使用する
– 調理時間は、できるだけ短くする
– 煙や臭いが強い食材の調理は、屋外で行う
実は、最初の頃、我が家は駐車場でコンロを使っていました。その時、隣の車の方から「煙が入ってくるので、やめてもらえますか」と指摘されました。その時は申し訳なく思いましたし、その後は必ず指定エリアでのみ調理するようにしました。
また、調理後の片付けも重要です。ゴミは必ず持ち帰り、使用済みのガスカートリッジも適切に処理します。こうした配慮が、車中泊文化を守ることにつながると思っています。
さらに、私たちが気をつけているのは、地元の方との関係構築です。キャンプ場や道の駅で調理する際は、周囲の方に「こんにちは」と挨拶し、親切にしてもらったら感謝の言葉を伝えるようにしています。こうした小さな心遣いが、車中泊ライフを豊かにしてくれるんですよね。
まとめ
車中泊でのコンロ選びは、単に「調理ができればいい」という考え方では不十分です。安全性、経済性、利便性、そして周囲への配慮まで、多くの要素を総合的に考える必要があります。
我が家が3年間の車中泊経験を通じて学んだのは、「複数のコンロを使い分ける」という考え方の重要性です。日常的な調理にはガスコンロ、特別な時間を楽しみたいときには焚き火台やバーベキューコンロという使い分けが、車中泊ライフを本当に豊かにしてくれます。
最初は失敗もありましたが、その失敗こそが、今の快適な車中泊ライフにつながっています。これからも、妻と一緒に日本中を旅しながら、新しい発見と出会いを大切にしていきたいと思っています。皆さんも、自分たちのライフスタイルに合ったコンロを見つけて、素敵な車中泊ライフを楽しんでください。

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