妻と二人、この3年間で日本中の道の駅や車中泊スポットを巡ってきました。その過程で気づいたのが、「車選びがすべてを決める」ということなんですよね。最初に乗っていた軽自動車では腰が痛くなり、今のミニバンに乗り換えてから本当に快適になった。そこで今回は、実際に乗り比べた経験をもとに、車中泊に最適な車の選び方とランキングをお伝えしたいと思います。
車中泊初心者が知るべき「車選び」の基本
車中泊に必要な3つの条件
車中泊を快適に過ごすために、私が重視している条件は3つあります。
1つ目は「寝転べるサイズ」です。身長170cm程度の大人が横になれる、最低でも長さ170cm以上、幅100cm以上の空間が必要です。我が家の妻は「くの字に寝ても大丈夫な広さ」を基準にしていますね。
2つ目は「通風性と断熱性」。夏場に窓が少ないと蒸し風呂状態になりますし、冬は結露が大敵です。複数の窓があり、かつ適切な断熱材が入っている車を選ぶことが重要です。
3つ目は「走行性能の快適さ」。長時間運転することを考えると、乗り心地が悪い車は疲労が蓄積します。実は、これが意外と見落とされがちなんですよ。
軽自動車 vs ミニバン vs SUV:それぞれのメリット・デメリット
軽自動車(軽バン)は、燃費が良く、小回りが利くのが魅力です。軽井沢や山道の狭い駐車場でも入りやすい。しかし、室内高が低く、大人二人だと窮屈に感じます。私たちも最初は軽バンでしたが、3ヶ月で乗り換えを決意しました。
ミニバンは、室内空間が広く、燃費も悪くない。何より家族連れの旅行者が多いため、情報が豊富です。デメリットは、新車だと300万円以上の投資が必要という点。ただし、中古市場が活発で、掘り出し物が見つかりやすいんですよね。
SUVは、走行性能と高級感が魅力。ただし、室内高が低めで、実際の寝心地はミニバンに劣ることが多い。燃費も悪い傾向にあります。
予算別の選択肢を徹底比較
予算150万円以下なら、軽バンの中古車。走行距離が10万km程度なら、まだ十分使えます。
予算150~300万円なら、ミニバンの中古車(5~10年落ち)がおすすめ。この価格帯が最もコスパが良いと感じています。
予算300万円以上なら、新車のミニバンか、中古のハイエース。長期的に乗るなら、新車の方が安心です。
【実体験から選んだ】車中泊向け車ランキング TOP5
第1位:トヨタ・ノア/ヴォクシー(ミニバン)
理由:バランスの取れた完成度の高さ
我が家が現在乗っているのが、トヨタ・ノアの2015年式です。室内長が約2,800mm、室内幅が約1,500mmと、大人二人が足を伸ばして寝転べます。何より、3列シートを全てフラットにできるので、ベッドキットの設置も簡単なんですよね。
燃費は市街地で10km/L、高速道路で12km/Lといったところ。月間1,500km走ると、ガソリン代は約12,000円程度です。新車時の価格は約330万円ですが、5~7年落ちなら150~180万円で購入できます。
実際に、去年の秋に北海道を3週間かけて回った時、毎晩快適に眠れました。ただし、天井が低めなので、背の高い方は工夫が必要かもしれません。
第2位:ホンダ・ステップワゴン(ミニバン)
理由:快適性と走行性のバランス
ホンダ・ステップワゴンは、ノアと比べて若干走行性が優れています。乗り心地が柔らかく、長時間運転しても疲れにくいんです。室内サイズはノアとほぼ同等で、約2,800mm×1,500mm。
価格帯もノアと似ていて、中古車なら150~200万円程度。ただし、ステップワゴンは「わくわくゲート」という横開きの後部ドアが特徴で、これが実は車中泊では使いづらいんですよね。我が家の友人が乗っているのですが、荷物の出し入れに毎回工夫が必要だと言っていました。
走行性能を重視する方や、長距離ドライブが多い方には、ステップワゴンをおすすめします。
第3位:日産・キャラバン(商用バン)
理由:圧倒的な室内空間
日産・キャラバンは、商用バンとは思えないほど広い室内空間を誇ります。室内長が約3,400mm、室内幅が約1,700mmと、ミニバンを大きく上回ります。
新車価格は約250~350万円で、中古なら100~150万円程度。ただし、商用車のため、乗り心地がやや硬めです。また、燃費は8~9km/L程度と、ミニバンより悪い傾向にあります。
実は、先月の富山への旅で、キャラバンに乗っている方と出会い、内部を見せていただきました。天井が高く、立ったまま着替えられるほどの広さに、いやはや、驚きました。本格的な車中泊を計画している方には、検討する価値ありです。
第4位:スズキ・エブリイ(軽バン)
理由:初心者向けの手軽さ
スズキ・エブリイは、軽バンの中でも室内高が高く、車中泊初心者に向いています。新車価格は約150~180万円、中古なら50~100万円程度で購入できます。
燃費は13~15km/Lと優秀で、ランニングコストが安いのが魅力。ただし、室内長が約2,000mm程度なので、身長170cm以上の方は、完全に足を伸ばせません。
妻の友人がエブリイで車中泊を始めたのですが、「最初の1年は良かったけど、だんだん窮屈さが気になってきた」と言っていました。あくまで、入門車として考えるべきですね。
第5位:トヨタ・ハイエース(大型バン)
理由:本格的な車中泊を目指す方向け
トヨタ・ハイエースは、室内長が約3,900mm、室内幅が約1,700mmと、キャラバンをも上回る広さです。新車価格は約350~450万円と高額ですが、中古なら200~300万円程度。
走行性能も優れており、高速道路での安定性は抜群です。ただし、燃費は7~8km/Lと悪く、月間1,500km走ると約18,000円のガソリン代がかかります。
ハイエースは、実は人気が高く、中古市場でも値崩れしにくいんですよね。長期的に乗り続ける予定なら、投資する価値があります。
車中泊向け車を選ぶ際の重要ポイント
寝心地を左右する「室内サイズ」の見極め方
室内サイズは、カタログの数字だけでは判断できません。実際に、ディーラーで寝転んでみることが重要です。我が家も購入前に、3台のミニバンで試しました。
特に注意すべきは、実際の寝スペースがどれくらい確保できるかという点。3列シートを全てフラットにしても、ホイールハウス(タイヤの上部)が邪魔になることがあります。ノアの場合、ホイールハウスが比較的低いため、寝スペースを有効活用できるんですよね。
また、シートの厚みと素材も重要です。薄いシートだと、底付き感があり、腰が痛くなります。我が家では、10cm厚のマットレスを敷いて対応しています。
夏の暑さ・冬の寒さに対応する「断熱性と通風性」
夏場の対策は、通風性が命です。複数の窓があり、対角線上に配置されていることが理想的。ノアは、両側に大きな窓があるため、風が通りやすいんです。
去年の8月、長野県の高原で車中泊した時、窓を開けて寝ましたが、夜間は涼しく快適でした。ただし、虫が入るため、網戸の取り付けは必須です。
冬場の対策は、断熱性が重要。特に、天井と側面の断熱が効果的です。我が家では、アルミ断熱シートを貼り、さらに厚手のカーテンを取り付けました。これにより、外気温が5℃でも、車内は15℃程度を保つことができます。
結露対策として、就寝時に小型の除湿機を稼働させるのも有効です。ただし、バッテリー消費が激しいため、走行中の充電が必須になります。
長期利用で気になる「燃費と維持費」の現実的な数字
車中泊で最も気になるのが、ランニングコストです。我が家の場合、月間走行距離が1,500km程度。
ノア(燃費11km/L平均):ガソリン代 約13,600円
軽バン(燃費14km/L平均):ガソリン代 約10,700円
一見、軽バンの方が安いように見えますが、実は維持費全体で考えると、ミニバンの方が有利なんですよね。理由は、ミニバンの方が故障が少なく、部品代も安いからです。
また、任意保険料も考慮すべき。商用バンは保険料が高めで、ハイエースなら月額6,000~8,000円程度。ミニバンなら4,000~6,000円程度です。
年間維持費で考えると、ミニバンは約80~100万円、軽バンは約60~80万円。差は20万円程度ですが、快適性を考えると、ミニバンの方がコスパが良いと判断しています。
意外と見落としがちな「快適性を高めるポイント」
天井の高さと横幅が快適さを決める理由
車中泊の快適さは、寝る時間の質で決まります。天井が低いと、圧迫感があり、深く眠れません。ノアの天井高は約1,405mmで、ベッドキットを敷いても、まだ30cm程度の空間があります。
これにより、寝ている最中に「天井が近い」という不安感がなく、ぐっすり眠れるんですよね。実は、この心理的な安心感が、翌日の疲労度に大きく影響するんです。
また、横幅も同様に重要です。1,500mm以上あれば、寝返りを打つ時に壁に当たる心配がありません。我が家の妻は、寝相が悪いため、この広さが必須条件だったんです。
窓の配置と数が睡眠の質に影響する
窓の数と配置は、通風性と採光性に直結します。ノアは、両側に大きな窓が3つずつあり、計6つの窓があります。これにより、朝日が自然に入り、目覚めやすいんですよね。
また、複数の窓があることで、結露対策も容易です。窓を少し開けておくだけで、湿度を逃がせます。
逆に、窓が少ない車(例えば、一部のSUV)は、夜間に真っ暗になり、朝も暗いため、体内時計がリセットされにくいんです。これが、疲労の蓄積につながることもあります。
走行性能と乗り心地も無視できない要素
車中泊では、運転中の快適さも重要です。乗り心地が悪いと、運転手が疲れ、安全性が低下します。
ノアは、サスペンションが比較的柔らかく、段差を乗り越える時も衝撃が小さいんです。一方、ハイエースなどの商用バンは、荷物を積むことを想定しているため、サスペンションが硬めです。
実は、この乗り心地の違いが、目的地に着いた時の疲労度に、思いのほか大きく影響するんですよね。妻も「乗り心地が良いと、目的地に着いてからの体力が全然違う」と言っています。
新車 vs 中古車:車中泊用の車はどちらがお得?
新車購入のメリット・デメリット
メリットは、保証が充実しているという点です。3年間の走行距離無制限保証があれば、故障時の修理代がかかりません。また、最新の安全技術が搭載されているのも安心です。
さらに、カスタマイズが容易です。ディーラーで、断熱材の追加や、窓の網戸取り付けなどを相談しやすいんですよね。
デメリットは、初期投資が大きいという点。ノアなら330万円、ハイエースなら450万円程度かかります。また、最初の数年間は減価償却が激しく、5年後に売却する時の値下がり幅が大きいんです。
中古車購入時の注意点と掘り出し物の見つけ方
中古車を購入する際は、走行距離と修復歴を最優先に確認します。走行距離が10万km以下、修復歴なしが基本です。
また、エンジンオイルの色と匂いを確認することも重要。黒くて焦げ臭いなら、メンテナンスが悪い可能性があります。
掘り出し物を見つけるコツは、複数のディーラーを回ることです。我が家は、5つのトヨタディーラーを回って、今のノアを見つけました。走行距離7万km、修復歴なし、価格168万円という好条件でした。
ただし、中古車は購入後のトラブルが予測しにくいという課題があります。我が家も、購入3ヶ月後に、エアコンのコンプレッサーが故障し、修理代に15万円かかってしまいました。いやはや、参りましたね。
我が家が中古ミニバンを選んだ理由と失敗談
正直なところ、新車を購入する予算もありました。ただし、「いつまで車中泊を続けるか分からない」という不安があったんです。妻が「体力的に続けられるのは、あと10年かな」と言っていたため、その間に投資する額を最小限にしたかったんですよね。
結果として、中古ミニバンを選んだのですが、これが正解だったと思います。月々のローン返済がないため、メンテナンス費用に余裕を持たせられるんです。
ただし、失敗もありました。購入当初、エンジンから異音がしていたのに、見落としてしまったんです。後日、ディーラーで診てもらったら、タイミングベルトの交換が必要で、20万円の追加出費になってしまいました。中古車購入時は、複数の整備工場で診てもらうことを強くおすすめします。
車中泊仕様へのカスタマイズ費用と工夫
DIYで実現できる快適化アイデア
ベッドキットの自作は、最も重要なカスタマイズです。市販品は10~30万円しますが、DIYなら3~5万円で実現できます。我が家は、ホームセンターで購入した木材とウレタンマットで、ベッドキットを自作しました。
断熱シートの貼り付けも、DIYで十分です。アルミ断熱シートは、100均で購入できます。天井と側面に貼ることで、冬場の保温性が格段に向上します。費用は約3,000円程度。
網戸の取り付けも、簡単です。マグネット式の網戸なら、取り外しが容易で、1,000円程度で購入できます。
照明の追加も、おすすめです。LEDテープライトを天井に貼ると、夜間の快適性が向上します。費用は約2,000円程度。
必須アイテムと「あると便利」なグッズの優先順位
必須アイテム:
1. マットレス(10cm厚以上):20,000円
2. 枕とシーツ:5,000円
3. 寝袋(冬用):15,000円
4. 網戸:1,000円
あると便利なグッズ:
1. ポータブル電源:50,000~100,000円
2. 小型冷蔵庫:15,000~30,000円
3. 除湿機:5,000~10,000円
4. 扇風機(12V):3,000円
優先順位としては、寝具 > 通風・断熱 > 電源 > 冷蔵庫という順序がおすすめです。最初から全てを揃える必要はなく、実際の車中泊を経験しながら、必要なものを足していくのが得策です。
初期投資と長期的なコスパを考える
車中泊の初期投資は、以下の通りです:
車両購入:150~300万円(中古ミニバン)
ベッドキット:3~5万円(DIY)
断熱・通風対策:3~5万円
基本的な寝具:20~30万円
電源関連:50~100万円(ポータブル電源など)
合計:200~450万円
これを10年間で償却すると、年間20~45万円、月間1.7~3.8万円のコストです。一般的なホテルに月10泊すると、1泊5,000円×10泊=50,000円かかるため、車中泊の方が圧倒的に安いんですよね。
さらに、自由な時間が増え、新しい景色や人間関係が得られる価値を考えると、非常にコスパの良い投資だと思います。
まとめ
車中泊に最適な車選びは、単なる「広さ」だけでは判断できません。寝心地、通風性、走行性能、そして予算のバランスを考慮する必要があります。我が家の経験から言えば、中古のミニバン(ノア・ステップワゴン)が、最もコスパが良い選択肢です。
ただし、本格的な車中泊を目指すなら、キャラバンやハイエースも検討する価値があります。大切なのは、実際に複数の車で寝転んでみて、自分たちに最適な車を見つけることなんですよね。
妻と私は、この3年間で50泊以上の車中泊を経験し、日本中の素晴らしい景色と人間関係に恵まれました。あなたも、ぜひ自分たちにぴったりの一台を見つけて、新しい旅のスタイルを始めてみてください。初めの一歩は、ディーラーでの試乗から。その先に、素晴らしい世界が待っていますよ。

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