妻と二人で車中泊を始めたのは、子どもたちが独立した3年前のことです。最初は「とにかく寝られればいい」という気持ちで、適当にグッズを揃えていました。しかし実際に全国を旅してみると、グッズ選びがいかに重要かを思い知らされました。今回は、私たちが3年間で試行錯誤しながら選んだ、本当に必要なグッズと、逆に失敗した買い物についてお話しします。
車中泊初心者が最初に揃えるべき必須グッズ5選
車中泊を始める際、多くの人が「何から揃えればいいのか分からない」と悩まれます。私たちも同じでした。ただ、実際に何度も経験してみると、優先順位が見えてくるんですよね。ここでは、本当に必要な5つのグッズについてお話しします。
快適な睡眠を支える寝具類(マットレスと枕)
車中泊で最も大切なのは、実は睡眠の質です。いやはや、これを軽視していた時期が私にもありました。最初は100均で買った薄いクッションだけで寝ていたのですが、朝起きると腰が痛くて、その日一日が台無しになってしまいました。
そこで導入したのが、厚さ10cm程度の高反発マットレスです。ミニバンの後部座席を倒した空間に敷くと、かなり快適になります。価格は5,000~15,000円程度で、ネットで購入できるものが多いです。重要なのは、自分たちの車のサイズに合ったものを選ぶことです。我が家のミニバンは横幅が約1.7mなので、それに合わせてマットレスを選びました。
枕も同様に重要です。妻は最初、普通の家用の枕を持ち込もうとしていたのですが、かさばるし、洗濯も大変です。今は、キャンプ用の小さめなエアー枕を使っています。これなら使わないときは空気を抜いて、わずかなスペースに収納できるんですよね。価格は1,500~3,000円程度です。
温度調節に欠かせない寝袋とブランケット
次に大切なのが、温度管理です。特に春先や秋口は、昼間は暖かくても夜間は想像以上に冷え込みます。私たちが岡山県の高梁川沿いで車中泊した4月下旬、夜間の気温が予想外に低く、毛布だけでは対応できませんでした。
そこで導入したのが、季節に応じた寝袋です。夏用(対応温度15℃程度)、春秋用(同10℃程度)、冬用(同-10℃程度)の3種類があると、ほぼ全シーズン対応できます。価格は3,000~8,000円程度です。我が家では、春秋用の寝袋を基本に、冬はそれに毛布を重ねるという工夫をしています。
ブランケットについては、100均のものでも意外と役立ちます。複数枚あると、掛け布団として使ったり、窓に貼り付けて断熱効果を高めたりできるんですよね。
照明グッズ:LEDランタンと懐中電灯の使い分け
車中泊では、照明の質が生活の質に直結します。最初は懐中電灯だけで対応していたのですが、読書をしたり、簡単な調理をしたりする際に、手持ちの懐中電灯では不便でした。
LEDランタンを導入してからは、本当に快適になりました。特に、調光機能がついたものがおすすめです。就寝前は暖色の弱い光にして、起床時は白色の明るい光に変えるという使い分けができます。価格は2,000~5,000円程度です。我が家では、Amazonで購入した3,000円程度のLEDランタンを使っていますが、十分に満足しています。
懐con電灯は、緊急時や夜間のトイレの際に持ち歩くために、小型のものを1本持っています。
換気と目隠しの必需品:カーテンとサンシェード
プライバシーと通風を確保するために、カーテンとサンシェードは必須です。特に、道の駅や駐車場での車中泊では、外からの視線が気になります。
カーテンは、100均で購入した遮光カーテンを改造して使っています。具体的には、吸盤を使って車内に取り付けました。これで、夜間の外からの視線を完全に遮ることができます。価格は100~500円程度です。
サンシェードは、フロントガラス用とサイドウィンドウ用を用意しています。特に夏場は、日中の車内温度上昇を抑えるのに役立ちます。価格は500~2,000円程度です。
季節別で選ぶべき車中泊グッズの工夫
日本は四季が明確なため、季節ごとに必要なグッズが異なります。我が家では、春夏秋冬それぞれで工夫を凝らしています。
夏の車中泊:暑さ対策グッズの選び方
夏の車中泊は、正直なところ最も大変です。昼間の車内温度は50℃を超えることもあり、適切な対策がないと、熱中症のリスクさえあります。
まず重要なのが、サンシェードです。特にフロントガラスとリアガラスを完全に覆うことが大切です。これだけで、車内温度を5~10℃低下させることができます。
次に、ポータブル扇風機です。USB充電式のものが便利で、価格は1,500~3,000円程度です。我が家では、小型の扇風機を2台用意して、夜間に使用しています。ただし、バッテリー消費が激しいため、モバイルバッテリーは必須です。
また、冷感タオルやアイスノンも役立ちます。特に就寝前に、アイスノンを枕の下に置くと、かなり快適に眠れるんですよね。
冬の車中泊:寒さ対策と結露防止のコツ
冬の車中泊で最も厄介なのが、結露です。車内の温度差により、窓が曇り、水滴が付きます。この結露を放置すると、カビが発生したり、外からの視線が気になったりします。
対策としては、まず換気が重要です。朝起きたら、すぐに窓を少し開けて、湿った空気を逃がします。ただし、セキュリティの問題もあるため、窓用の換気グッズ(価格500~1,500円程度)を使うと便利です。これは、窓を少し開けた状態で固定でき、盗難防止になります。
また、結露防止シートを窓に貼り付けるのも効果的です。価格は500~1,000円程度で、ホームセンターで購入できます。
寒さ対策としては、冬用の寝袋と毛布の組み合わせが最も効果的です。加えて、カーペットやラグを敷くと、床からの冷気を遮断できます。
春秋の快適さを保つグッズの活用法
春秋は、昼間は暖かく、夜間は冷え込むという、気温差が大きい季節です。そのため、グッズの使い分けが重要になります。
我が家では、春秋用の寝袋を基本に、気温に応じて毛布を追加するという方法を取っています。また、サンシェードも、昼間は使用して日中の温度上昇を防ぎ、夜間は取り外すという工夫をしています。
この季節は、窓を開けて通風を確保しやすいため、カーテンだけで対応できることも多いです。
実は不要だった高価なグッズと代替案
3年間の車中泊経験を通じて、「買って失敗した」というグッズが、いくつかあります。ここでは、その失敗談と代替案についてお話しします。
買って後悔した高級ガジェット
最初の1年目、私は「快適さのためには、ある程度の投資が必要」と考えていました。そこで購入したのが、20,000円程度の高級ポータブルクーラーです。これは、USB充電で冷風を発生させるというものでした。
しかし、実際に使ってみると、ほとんど効果がありませんでした。いやはや、驚きました。冷風の出力が弱く、車内全体を冷やすには到底及ばないのです。結局、サンシェードと小型の扇風機の方が、はるかに実用的でした。
同様に、15,000円の高級LEDランタンも、最終的には3,000円のものに置き換わりました。機能は十分に似ていたのに、余計な機能が多すぎて、操作が複雑だったんですよね。
100均グッズで十分だった意外な商品
一方で、100均で購入したグッズが、想像以上に役立つことも多いです。
例えば、収納ボックスです。100均で購入した透明のプラスチックボックスを複数個用意して、グッズを分類して収納しています。これだけで、限られたスペースを効率的に活用できます。
また、フック類も100均で十分です。吸盤タイプのフックを複数個購入して、ランタンや懐中電灯を吊り下げています。価格は1個100円ですが、使い勝手は高級品と変わりません。
ティッシュボックスケースも、100均のものを使っています。これを助手席に置いておくと、ちょっとした物入れになるんですよね。
本当に役立つ低コストな工夫グッズ
高価なグッズよりも、工夫と組み合わせで作った低コストなグッズの方が、実は役立つことが多いです。
例えば、我が家では、段ボール箱を活用した収納システムを作りました。段ボール箱に布を貼り付けて、車内に固定しています。これで、グッズを整理整頓できるだけでなく、見た目も悪くありません。材料費は500円程度です。
また、ダイソーで購入した結束バンドを使って、複数のグッズを一つにまとめることで、収納スペースを節約しています。
網目状のシートを使って、天井にグッズを吊り下げるという工夫も、費用は1,000円程度ですが、かなり効果的です。
妻と一緒に選んだ「あると嬉しい」快適グッズ
妻と一緒に旅をする中で、「あると嬉しい」というグッズが、いくつか見つかりました。
調理・食事関連:ポータブルコンロとクーラーボックス
車中泊の楽しみの一つが、現地で食事をすることです。最初は、コンビニ弁当やカップラーメンで対応していたのですが、妻から「たまには温かい食事がしたい」という声が上がりました。
そこで購入したのが、ポータブルコンロです。価格は2,000~5,000円程度で、カセットコンロを使ったものが一般的です。我が家では、3,500円程度のものを購入しました。これで、簡単な調理ができるようになり、食事の質が大きく向上しました。
クーラーボックスも同様に重要です。特に夏場は、食材の鮮度を保つために必須です。我が家では、容量25Lの保冷力が高いクーラーボックスを使用しています。価格は3,000~8,000円程度です。
ただし、クーラーボックスは意外とかさばるため、収納スペースの確保が課題です。我が家では、使わないときは車の下に積み込むという工夫をしています。
衛生・清潔さを保つグッズ
長期間の旅では、衛生管理が重要です。特に、手洗いやトイレの後の清潔さを保つことが大切です。
我が家では、携帯用のウェットティッシュと、アルコール消毒液を常備しています。価格は合わせて500~1,000円程度です。
また、ポータブルシャワーも導入しました。価格は2,000~4,000円程度で、電動のものが便利です。これで、道の駅の駐車場でも、簡単に体を洗うことができます。
トイレットペーパーやティッシュは、かさばるため、圧縮タイプのものを購入しています。これだけで、収納スペースを大幅に節約できます。
夫婦で快適に過ごすための工夫グッズ
夫婦で長時間、限られたスペースで過ごすには、相手への配慮が重要です。そのための工夫グッズも、いくつかあります。
例えば、個別の照明です。妻は夜間に読書をしたいことが多いのですが、私は就寝したいということもあります。そこで、妻用の小型LEDライトを購入して、個別に使用できるようにしました。価格は1,500円程度です。
また、プライベートスペースの確保も大切です。我が家では、カーテンで車内を2つのエリアに分け、それぞれが独立したスペースを持つようにしました。
さらに、イヤホンやノイズキャンセリングヘッドフォンも役立ちます。相手が寝ている間に、自分だけが音楽や動画を楽しむことができるんですよね。
プロが教える車中泊グッズの収納テクニック
限られたスペースの中で、いかに多くのグッズを効率的に収納するかは、快適な車中泊の鍵です。
限られたスペースを活かす収納アイデア
我が家のミニバンは、後部座席を倒すと、かなり広いスペースが生まれます。しかし、それでも収納には工夫が必要です。
まず重要なのが、垂直方向の活用です。天井に網目状のシートを取り付けて、軽いグッズを吊り下げています。これで、床面積を大幅に節約できます。
また、車の下部分も活用しています。防水性のコンテナを用意して、シーズンオフのグッズを保管しています。これで、常に必要なグッズだけを車内に置くことができるんですよね。
ドアポケットや、シートの隙間も活用します。小型のグッズを、これらのスペースに分散させることで、見た目もすっきりします。
グッズの優先順位の決め方
すべてのグッズを車に積み込むことはできません。そこで、優先順位を決めることが重要です。
我が家では、以下のように分類しています:
Aランク(毎回必須):マットレス、寝袋、枕、照明、カーテン、サンシェード
Bランク(季節ごとに必須):夏用の扇風機、冬用の毛布、ポータブルコンロ
Cランク(あると便利):クーラーボックス、ウェットティッシュ、ポータブルシャワー
Dランク(オプション):本、ゲーム、カメラなど
このように分類することで、限られたスペースの中で、本当に必要なグッズを優先的に積み込むことができます。
季節ごとの入れ替えシステム
季節によって必要なグッズが異なるため、入れ替えシステムを構築することが大切です。
我が家では、自宅のガレージに、季節ごとのコンテナを用意しています。春秋用、夏用、冬用の3つです。旅に出かける前に、該当するコンテナから必要なグッズを取り出して、車に積み込みます。
この方法により、常に車内をすっきりさせることができるだけでなく、グッズの整理も容易になります。
車中泊グッズを選ぶときの失敗しないポイント
最後に、グッズ選びで失敗しないためのポイントについて、お話しします。
自分たちのスタイルに合ったグッズ選び
車中泊のスタイルは、人それぞれです。山登りをしながら車中泊をする人もいれば、我が家のように、ゆっくりと風景を楽しむ人もいます。
重要なのは、自分たちのスタイルに合ったグッズを選ぶことです。他の人の評判が良いからといって、自分たちに合わないグッズを購入するのは、お金の無駄です。
我が家では、妻と相談しながら、「我が家の旅に必要か」という視点でグッズを選んでいます。
品質と価格のバランスの見極め方
高いグッズが必ずしも良いわけではありませんが、安すぎるグッズは、すぐに壊れる可能性があります。
我が家では、以下のような基準でグッズを選んでいます:
- 寝具類:5,000~15,000円程度のもの。これ以上安いと、耐久性に不安がある
- 照明:2,000~5,000円程度のもの。十分な機能を備えている
- その他:1,000~3,000円程度のもの。使用頻度に応じて判断
また、レビューを確認することも大切です。特に、実際に使用した人の口コミは、参考になります。
実際に使ってから判断する重要性
最後に、最も重要なポイントは、「実際に使ってから判断する」ということです。
我が家では、新しいグッズを購入した場合、まずは自宅の庭で試してみます。その後、近所での車中泊で使用して、本当に必要かどうかを判断します。このプロセスを経ることで、無駄な買い物を大幅に減らすことができました。
特に、高価なグッズほど、このプロセスが重要です。
まとめ
3年間の車中泊経験を通じて、「快適さは、高価なグッズではなく、工夫と経験から生まれる」ということを実感しました。
グッズ選びで最も大切なのは、自分たちの旅のスタイルを理解し、本当に必要なものを厳選することです。また、失敗を恐れず、試行錯誤を繰り返すことも重要です。
妻と一緒に、少しずつ快適な車中泊環境を作り上げてきました。その過程で、予想外のグッズが役立ったり、高価なグッズが不要だったりと、多くの発見がありました。
これから車中泊を始める皆さんも、ぜひ自分たちのスタイルに合ったグッズを選んで、快適な旅を楽しんでください。グッズ選びは、旅の一部です。その過程も、楽しんでいただきたいなと思います。

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