妻と二人で日本中を巡る車中泊の旅も3年目に入りました。今回、山梨県の富士山麓にある鳴沢という場所を訪れたのは、実は「富士山を間近に感じながら、静かに朝日を迎えたい」という妻の一言がきっかけだったんですよね。バックパッカー時代、ヒマラヤの麓で迎えた夜明けを思い出させてくれるような場所があるのではないか──そんな期待を胸に、ミニバンを走らせました。
鳴沢ってどんなところ?富士山麓の魅力的なエリア
富士山の絶景が楽しめる立地
鳴沢は山梨県南都留郡に位置する、富士山の北西麓にある小さな村です。標高が約900メートルと比較的高く、富士山との距離が近いため、季節を問わず雄大な富士山の姿を眺めることができるんですよ。実際に訪れてみると、朝靄の中から姿を現す富士山の迫力に、思わず息を呑みました。いやはや、驚きました。
この地域は東京からも比較的アクセスしやすく、中央自動車道を使えば約2時間半で到着します。都会の喧騒を離れ、富士山の懐に抱かれるような感覚──これこそが、多くの車中泊愛好家を惹きつける理由なんだと改めて実感しました。
火山灰の大地「黒富士」の歴史
鳴沢周辺の土地は、富士山の火山活動によって形成された独特の地形をしています。黒い火山灰に覆われた大地は、かつての噴火の歴史を今に伝えているんですね。この黒い土壌は、実は地元の農業にも大きな影響を与えており、独特の風味を持つ野菜や農産物が育つ環境になっているそうです。
訪れた際、地元の方と立ち話をする機会があったのですが、「この土地の黒さが、富士山からの贈り物なんだ」とおっしゃっていた言葉が印象的でした。環境に配慮しながら、自然と共存する地域の姿勢に、私たちも大いに共感したんですよ。
四季折々の自然が織りなす風景
春は新緑と桜、夏は深い緑の森、秋は紅葉、冬は富士山の白雪──鳴沢は季節ごとに全く異なる表情を見せてくれます。私たちが訪れたのは10月中旬でしたが、朝晩の気温がぐっと下がり、富士山の頂上には既に初雪が積もっていました。
この季節ごとの変化こそが、何度も訪れたくなる理由なんですね。夫婦で「来年の春はどんな景色かな」と話しながら、ミニバンの窓から富士山を眺めるのが、今の私たちの最高の贅沢です。
道の駅 鳴沢の基本情報と車中泊のポイント
施設の営業時間・駐車場・トイレ情報
道の駅鳴沢は、富士山麓の国道139号線沿いに位置する、比較的小規模ながら非常に機能的な施設です。営業時間は一般的に午前8時から午後6時までとなっており、トイレは24時間利用可能な設計になっています。これは車中泊をする身としては、本当にありがたいポイントなんですよ。
駐車場は約40台程度の収容能力があり、普通車用と大型車用が分かれています。私たちのミニバンは普通車用エリアに停めましたが、夜間でも比較的静かで、安心して眠ることができました。ただし、紅葉シーズンや連休中は混雑することもあるため、できれば午後3時から4時の間に到着することをお勧めします。
車中泊に適した駐車スペースの選び方
駐車場内には、角度のある区画と比較的平坦な区画があります。車中泊を快適にするには、できるだけ平坦な場所を選ぶことが重要なんですね。私たちは施設の奥側にある、富士山を真正面に眺められる区画を確保することができました。
実は、最初は入り口近くの区画に停めようとしたのですが、夜間に出入りするトラックの音が気になるかもしれないと考え直し、奥へ移動したんです。この判断が正解でした。朝方、トラックが何台か出入りしていたようですが、奥の区画からは気になりませんでした。
実際に泊まってみて気づいたこと
初めての鳴沢での車中泊で、私たちが予想していなかったのは「夜間の気温低下の速さ」でした。10月中旬とはいえ、標高900メートルの地域では夜間気温が5度程度まで下がるんですね。妻が「なんだか寒いな」と呟いた時には、既に寝袋の中でも体が冷えてしまっていました。
結局、車内に積んであった予備の毛布を3枚重ねることになったのですが、これは後々の教訓になりました。山麓での車中泊は、季節に関わらず防寒対策を万全にすることが必須なんですよ。今では、10月から3月は必ず電気毛布と厚めの寝袋を用意するようにしています。
周辺の観光スポットと立ち寄りスポット
富士山の絶景スポット「鳴沢氷穴」
道の駅から車で約5分のところに、「鳴沢氷穴」という有名な観光地があります。これは富士山の溶岩流によって形成された洞窟で、年間を通じて内部の気温が約3度に保たれているんですね。入場料は大人500円、営業時間は午前9時から午後5時までです。
実は、私たちはこの氷穴を訪れたのですが、洞窟内の神秘的な雰囲気に思わず言葉を失いました。妻は「バックパッカー時代のあの鍾乳洞を思い出す」と、懐かしそうに呟いていたんですよ。10月でも洞窟内は冷え込むため、薄手の上着を持参することをお勧めします。
自然散策に最適な青木ヶ原樹海周辺
鳴沢の南側に広がる青木ヶ原樹海は、富士山の噴火によって形成された原生林です。約30平方キロメートルの広大な樹海は、ハイキングコースとしても整備されており、初心者でも安全に散策できるようになっています。
私たちは「青木ヶ原樹海探索コース」という約1時間30分のコースを歩きました。樹齢が古い樹木が密集した中を歩くと、時間が止まったような感覚に陥るんですね。苔むした岩、清らかな小川、野鳥の声──すべてが調和した、まさに「自然との共存」を体験できる場所です。ただし、迷いやすいため、必ず地図やガイドを持参してください。
グルメ情報:地元の名物グルメ
鳴沢周辺には、地元の食材を使った飲食店が点在しています。道の駅併設の売店では、地元産の野菜や加工品が販売されており、車中泊の食事の買い出しに最適です。特に、富士山麓で栽培されたそば粉を使った蕎麦は、本当に絶品なんですよ。
また、周辺には「鳴沢うどん」という名物があり、地元の小麦を使ったコシの強いうどんが有名です。道の駅から車で10分ほどのところに「鳴沢うどん処」という小さな食堂があり、朝7時から営業しています。私たちは車中泊の翌朝、ここで温かいうどんをいただきました。朝日を浴びながら食べるうどんの味は、今でも忘れられません。
車中泊初心者向け!鳴沢での過ごし方と失敗談
夜間の気温低下への対策
山麓での車中泊で最も重要なのが、夜間の気温低下への対応です。富士山麓の鳴沢は、標高の高さゆえに気温が急速に低下するんですね。特に秋から春にかけては、日中と夜間の気温差が15度以上になることも珍しくありません。
対策としては、まず断熱シートをミニバンの窓に貼ることが効果的です。また、湯たんぽや電気毛布があると、車内の快適性が大きく向上します。私たちは最初、「10月なら大丈夫だろう」と甘く考えていたのですが、その判断が大きな失敗でした。今では、季節に関わらず複数の防寒グッズを常備するようにしています。
朝日鑑賞のベストタイミング
鳴沢での朝日鑑賞は、本当に格別です。富士山の稜線から昇る太陽の光が、黒い火山灰の大地を照らす瞬間──これを見るために、私たちは早朝4時に目を覚ましました。
ベストな時間帯は、季節によって異なります。10月であれば、午前6時から6時30分がゴールデンタイムなんですね。事前に日の出時刻を調べておくことが重要です。また、朝日を見るなら、駐車場の奥側で、富士山を正面に眺められる位置を確保することをお勧めします。
私たちが経験した予想外のハプニング
実は、初めての鳴沢での車中泊で、私たちは思わぬトラブルに見舞われました。夜中の午前2時頃、突然、野生の鹿がミニバンの横を駆け抜けていったんです。いやはや、驚きました。
妻は「えっ、何ですか?」と飛び起きてしまい、その後なかなか寝付けなくなってしまったんですね。後で地元の方に聞いたところ、秋から冬にかけては、鹿が水を求めて道の駅周辺に現れることがあるそうです。これ以降、私たちは窓に目隠しシートを取り付けるようにしました。野生動物との遭遇は、自然の中での車中泊の醍醐味でもあるのですが、安全性と快適性のバランスを取ることが大切なんですよ。
鳴沢への行き方とアクセス情報
東京からのルート別所要時間
東京からのアクセスは非常に良好です。中央自動車道を使い、河口湖インターチェンジで下りて、国道139号線を南下するルートが最短です。所要時間は約2時間30分から3時間です。
一般道を使う場合は、青梅街道から奥多摩経由で甲州街道に合流するルートもありますが、こちらは約3時間30分から4時間かかります。休日の中央道は混雑することが多いため、できれば早朝出発か、平日の移動をお勧めします。
ガソリンスタンド・補給地点の位置確認
鳴沢周辺でのガソリン補給は、事前計画が重要です。河口湖インターチェンジ周辺にはガソリンスタンドが複数ありますが、鳴沢市街地内のスタンドは限定的です。私たちは、河口湖インターチェンジ近くの「ENEOS」で給油してから向かうようにしています。
また、食料品やアメニティの補給は、道の駅併設の売店が便利です。営業時間は午前8時から午後6時までなので、それ以降の到着を予定している場合は、手前の町で買い出しを済ませておくことをお勧めします。
季節ごとの走行注意点
冬場(12月から3月)は、富士山麓の積雪に注意が必要です。国道139号線は除雪されていますが、朝方の凍結は避けられません。スタッドレスタイヤの装着は必須です。
春から秋にかけては比較的走行しやすいのですが、秋の紅葉シーズン(10月から11月)は観光客が増え、道路が混雑することがあります。また、夏場は夜間でも気温が高めなため、防寒対策よりも通風対策が重要になります。
まとめ
鳴沢での車中泊は、単なる「寝泊まりの場所」ではなく、富士山麓の自然と深く向き合う機会なんですね。高価なキャンプ施設や豪華なホテルではなく、ミニバンの中で、夫婦二人、富士山を眺めながら朝日を迎える──こうした「工夫と工夫を重ねた快適さ」こそが、私たちが求めていた旅の形だったんです。
初めての訪問で失敗もありましたが、その失敗こそが次の旅をより豊かにしてくれました。環境に配慮し、地元の方々を尊重しながら、自然との共存を実践できる場所──それが鳴沢です。もし、あなたも富士山麓での車中泊に興味がおありでしたら、ぜひ一度、鳴沢を訪れてみてください。きっと、新しい旅の形が見つかると思いますよ。

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