妻と一緒に車中泊を始めて3年。最初は既製品のベッドキットを検討していたのですが、いやはや、値段の高さに驚きました。20万円以上するものばかり。そこで思い立ったのが、「自分たちで作ってみよう」ということです。バックパッカー時代の知恵と、少しのDIY技術で、わが家のミニバンは今や快適な寝床へと変身。この記事では、私たちが実際に経験した車中泊ベッドの自作方法をお伝えします。初心者の方でも十分実現できる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
車中泊ベッドを自作するメリット|既製品より優れた理由とは
コスト削減|数万円で快適な寝床が実現できる
車中泊ベッドの既製品は、本当に高いんですよね。調べてみると、ちゃんとしたものは15万円~30万円の価格帯。一方、自作なら材料費だけで3万円~8万円程度で実現できます。
わが家の場合、ベニヤ板、すのこ、ウレタンマット、ネジなどすべて揃えて、合計で約5万2000円でした。既製品と比べると10分の1以下の投資です。この浮いたお金で、ポータブル冷蔵庫や高級な寝袋を購入することもできました。
特に初心者の方は、最初から高額な製品に投資するのは勇気がいるものです。自作なら、もし失敗しても経済的なダメージが少なく、チャレンジしやすいというメリットがあります。
自分のミニバンに合わせたカスタマイズが可能
既製品のベッドキットは、ある程度の「標準サイズ」で設計されています。しかし車種によって内寸は微妙に異なるんですよね。わが家のミニバン(ホンダ・ステップワゴン)も、実際に測ってみると、一般的な寸法と5cm以上の差がありました。
自作なら、ご自身の車の寸法に合わせて、ぴったりサイズのベッドが作れます。わが家では、運転席側に小物置き用のスペースを作ったり、後部に通気性を高めるための隙間を意図的に作ったりと、細かなカスタマイズが可能でした。妻からは「既製品では絶対に実現できない、わたしたちだけのベッドだね」と喜ばれました。
DIYの達成感と愛着が生まれる
正直なところ、自分で作ったベッドで寝ると、既製品とは違う満足感があります。バックパッカー時代、自分たちで秘密基地を作ったときのような、あの懐かしい達成感ですね。
毎晩、このベッドで寝るたびに「あ、これ自分たちで作ったんだ」という思いが蘇ります。妻も「この部分、あなたがこんなふうに工夫してくれたから、こんなに快適なんだ」と言ってくれることがあり、そういう瞬間の喜びは何物にも代えがたいものです。愛着を持って、長く大切に使い続けることができるのも、自作ならではの魅力だと感じています。
車中泊ベッド自作に必要な材料と工具|揃えるべきものリスト
材料選び|ベニヤ板・すのこ・ウレタンマットの特徴と選び方
ベニヤ板は、ベッドの骨組みとなる最も重要な材料です。厚さは15mm~18mmのものをお勧めします。薄すぎると走行時に揺れが大きくなり、厚すぎると重くなってしまいます。わが家では18mm厚のシナベニヤ板を使用しました。ホームセンターで1枚1500円~2500円程度です。
すのこは、ベニヤ板の上に敷いて、通気性を確保するためのものです。既製品のすのこ(約2000円~3000円)でもいいですし、廃材を活用するのもいいでしょう。通気性がないと、湿度がこもって結露の原因になるんですよね。これは後ほど詳しく説明します。
ウレタンマットは、寝心地を大きく左右します。厚さ5cm~10cmのものが一般的で、価格は3000円~8000円。高反発と低反発がありますが、車中泊では通気性が良い高反発をお勧めします。わが家では8cm厚の高反発マットを選び、寝心地に大満足です。
最低限必要な工具|初心者が揃えるべき5つのアイテム
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電動ドライバー(3000円~5000円):ネジ止めに必須です。手動ドライバーでもできますが、時間がかかります。
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のこぎりまたは丸のこ(1000円~15000円):ベニヤ板をカットする際に使います。初心者なら、ホームセンターのカット無料サービスを利用するのも手です。
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メジャー(1000円程度):採寸に使います。5m以上の長さがあると便利です。
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水準器(1000円~2000円):ベッドが水平に設置されているか確認するために重要です。
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軍手と安全メガネ(500円~1000円):ケガ防止のため、必ず用意してください。
わが家では、これらをすべてホームセンターで揃え、合計で約1万5000円でした。既に持っている工具があれば、さらに安く済みます。
予算の目安|安く抑えるコツと材料費の内訳
わが家の実績内訳:
– ベニヤ板(18mm厚):5000円
– すのこ:2000円
– ウレタンマット:6000円
– ネジ・ボルト類:1500円
– その他(接着剤など):500円
– 材料費合計:15000円
工具を含めると約30000円ですが、工具は今後の修理やリフォームにも使えるので、一度の投資と考えればお手頃です。
安く抑えるコツ:
– ホームセンターのセール時期を狙う(特に春と秋)
– 廃材コーナーを活用する(すのこなど)
– ネット通販で材料を比較購入する
– 友人から工具を借りる
これらの工夫で、さらに5000円~10000円の削減が可能です。
ミニバンに合わせた自作ベッドの設計方法|採寸から設計図まで
正確な採寸が成功のカギ|ミニバンの内寸を測るコツ
採寸は、本当に重要なんですよね。ここで失敗すると、せっかく作ったベッドが入らない、なんてことになりかねません。
測定のコツ:
1. 複数箇所を測る:ミニバンの床は、前後左右で微妙に異なることがあります。わが家のステップワゴンも、前方と後方で3cm異なっていました。複数箇所を測り、最も狭い寸法に合わせます。
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荷物を全部出す:測定時は、車内をすっきり空にしてください。わが家は最初、寝袋やクーラーボックスが置いてある状態で測ってしまい、後で大失敗。測り直しました。
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床の段差に注意:ミニバンは、後部座席下に段差があることが多いです。ベッドがその段差に引っかからないか、確認が必須です。
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メジャーは直角に:壁や床に対して直角にメジャーを当てないと、正確な寸法が得られません。
わが家の場合、採寸に1時間以上かけました。その甲斐あって、ベッドは完璧にフィットしました。
設計図の作成|初心者でも失敗しない簡単な方法
設計図は、複雑である必要はありません。方眼紙に、上から見た図と横から見た図を描くだけで十分です。
簡単な設計図の作り方:
1. 方眼紙を用意(100円均一で購入可)
2. 縮尺を決める(例:1cm = 10cm)
3. 車内の寸法を描く
4. ベッドの寸法を描く
5. 各部品の厚さを記入
わが家は、最初エクセルで設計図を作ろうとしたのですが、複雑になってしまい、結局方眼紙に手書きしました。その方がシンプルで、ホームセンターの店員さんにも説明しやすかったです。
高さ調整のポイント|快適な寝心地を実現する工夫
ベッドの高さは、快適さを大きく左右します。高すぎると、走行時に揺れやすくなり、低すぎると湿度がこもりやすくなるんですよね。
わが家の設定:
– ベッド高さ:床から35cm
– マット厚さ:8cm
– 結果的な寝床の高さ:床から43cm
この高さなら、ベッド下に小物を置くスペースが確保でき、かつ走行時の安定性も良好です。妻も「ちょうどいい高さで、天井までの空間も十分」と満足しています。
一般的には、30cm~40cmの高さが目安です。ご自身の体格や、車内の天井高を考慮して調整してください。
実際に自作してみた|我が家の車中泊ベッド製作記
材料の購入から組立まで|かかった時間と費用
昨年の4月、ゴールデンウィークを利用して製作に取り組みました。
購入日:4月15日(土)
地元のホームセンター「カインズ」で、朝8時から買い物開始。店員さんに設計図を見せて相談しながら、約1時間かけて材料を選定。ベニヤ板は、店舗内のカットサービスで、必要な寸法に無料でカットしてもらいました。これで組立時間を大幅に短縮できました。
組立日:4月16日(日)~4月17日(月)
自宅の駐車場で組立開始。初日は、ベニヤ板にネジ穴を開け、すのこを取り付けるまで。8時間かかりました。妻も手伝ってくれて、「こういう作業、楽しいね」と言ってくれたのが嬉しかったです。
翌日は、ウレタンマットを敷いて、最終調整。合計で約15時間の作業時間でした。
実際の費用:
– 材料費:15000円
– ホームセンターでの工具購入:8000円
– その他(接着剤、ネジ追加購入など):2000円
– 合計:25000円
失敗談|ここで躓きました!実際のトラブルと対処法
正直に申し上げますと、失敗が2つありました。
失敗1:ネジの長さ選択
最初、ベニヤ板にネジ止めする際、長さ30mmのネジを使ってしまいました。すると、ネジが貫通してしまい、マットの裏側がボコボコに。あわてて、長さ20mmのネジに変更しました。この失敗で、余分に1500円の出費と、半日の作業ロス。
失敗2:通気性の甘い設計
完成直後、初めての車中泊で、朝起きたらマットの裏側が湿度でしっとり。すのこの隙間が狭すぎて、空気が流れていなかったんです。急いですのこの間隔を広げ、さらに通気穴を追加で開けました。
これらの失敗から学んだのは、「完璧を目指さず、試行錯誤を楽しむ」ということです。妻も「失敗があるから、思い出になるんだよ」と笑ってくれました。
完成後の使用感|妻の評価と改善点
完成から1年以上が経ちました。これまで月に2~3回、車中泊を利用しています。
妻の評価:「既製品よりも、ずっと快適。何より、夫が作ってくれたベッドだから、大事に使いたくなる」
実際の使用感:
– 寝心地:満点。8cm厚のマットは、自宅のベッドと同等の快適さです。
– 安定性:走行時も全く揺れません。
– 湿度対策:改善後は、結露がほぼ出ません。
改善点:
– ベッド下の収納スペースに、引き出し式のボックスを追加したい
– ヘッドライト用の小型ラックを取り付けたい
これらは、今後のプロジェクトとして考えています。
車中泊ベッドの自作パターン別ガイド|タイプ別の作り方
床置きタイプ|最もシンプルで初心者向けの構造
最も簡単なのが、床置きタイプです。わが家も、このタイプを採用しています。
構造:
1. ベニヤ板を床に直置き
2. その上にすのこを敷く
3. さらにウレタンマットを敷く
メリット:
– 材料が少なく、安い(材料費3万円程度)
– 製作時間が短い(8時間程度)
– 修理や改造が容易
デメリット:
– ベッド下を収納に使えない
– 床との間に湿度がこもりやすい
初心者向けとしては、このタイプから始めることをお勧めします。
跳ね上げ式ベッド|下部を収納スペースとして活用する方法
ベッドを跳ね上げ式にすれば、下部を収納スペースとして活用できます。
構造:
1. ベッドの片側にヒンジを取り付ける
2. ガススプリングを装着して、上げ下げを楽にする
3. ロック機構を付ける
必要な追加部品:
– ヒンジ:2000円程度
– ガススプリング:3000円~5000円
– ロック金具:1000円程度
メリット:
– 下部を収納に有効活用できる
– 日中は跳ね上げて、車内を広く使える
デメリット:
– 部品代が増える(追加5000円~8000円)
– 製作難度が上がる
– 定期的なメンテナンスが必要
スペースを最大限活用したい方向けです。
二段ベッドスタイル|夫婦で別々に寝たい場合の工夫
わが家の妻は、時々「自分だけのスペースが欲しい」と言うことがあります。そこで検討したのが、二段ベッドスタイルです。
構造:
1. 下段:通常のベッド(床から35cm程度)
2. 上段:天井近くに、狭いベッドスペースを作る
メリット:
– 夫婦で別々に寝られる
– 上段を昼間の読書スペースにできる
デメリット:
– 製作難度が高い
– 上段への出入りが大変
– 上段は身長制限がある
実際には、わが家は採用していません。理由は、妻が「やっぱり一緒がいい」と言ってくれたからです。
自作ベッドを快適にするアイテムと工夫|寝心地向上のコツ
マットレス選び|厚さと素材による違いと選択基準
ウレタンマットは、寝心地を大きく左右する最重要アイテムです。
厚さによる違い:
– 3cm~5cm:コンパクトだが、寝心地は限定的。予算重視の方向け。
– 5cm~8cm:バランス型。わが家はこの範囲を推奨。
– 8cm以上:高級感と快適さが増すが、重くなる。
素材による違い:
– 高反発:通気性が良く、湿度対策に優れている。車中泊向け。
– 低反発:包み込まれるような寝心地。ただし、湿度がこもりやすい。
– ジェルマット:温度調整機能がある。夏向け。
わが家では、高反発の8cm厚を選択。寝心地も通気性も満足しています。価格は6000円~8000円でした。
通気性確保|湿度対策と結露防止の工夫
車中泊で最も困るのが、結露です。朝起きると、窓が曇り、マットが湿ってしまうんですよね。
対策1:すのこの隙間を広げる
通常のすのこは隙間が狭いため、わが家では隙間を2cm程度に広げました。
対策2:通気穴を開ける
ベニヤ板に、直径5cm程度の通気穴を、複数個開けました。これで空気の流れが格段に改善されました。
対策3:除湿剤の配置
ベッド下に、大型の除湿剤を置いています。月に1回交換する手間がありますが、効果は抜群です。
対策4:朝の換気
毎朝、窓を少し開けて、空気を入れ替えます。わずか5分で、湿度が大きく低下します。
これらの工夫で、結露はほぼ完全に解消されました。
照明やラック|限られたスペースを活用する小物類
ベッド周りに、小物類を配置することで、利便性が大幅に向上します。
LED照明(1000円~3000円):
天井に小型のLED照明を取り付けました。夜間の読書や、荷物の出し入れが楽になりました。
サイドラック(2000円~4000円):
ベッドの脇に、スマートフォンやメガネを置くラックを取り付けました。寝ながら手が届く位置が最適です。
吊り下げポケット(1000円程度):
天井からポケットを吊り下げて、薬やティッシュを収納。スペース活用の工夫です。
これらの小物は、既製品を購入するのではなく、100円均一のアイテムを組み合わせて、DIYで作るのも楽しいですよ。
車中泊ベッド自作時の注意点|安全性と環境配慮
安全面での確認|走行時の固定と転落防止対策
ベッドが走行中に動いてしまっては、大変です。
固定方法:
– ベッドの四隅に、L字型の金具を取り付け、床に固定する
– ネジの締め付けトルクは、十分に(目安:手で締めて、さらに工具で1/4回転)
– 定期的に(月1回程度)、ネジの緩みをチェック
転落防止:
– ベッドの脇に、柵やクッションを付ける
– 特に、カーブを曲がるときは、体が動きやすいため注意
わが家では、初めての走行時に、ベッドがズレていないか、何度も確認しました。妻も「安全が第一だね」と同意してくれました。
環境への配慮|廃材処理とマナーある車中泊
自作の際に出た廃材の処理は、重要です。
廃材処理:
– ホームセンターの廃材回収サービスを利用(無料~500円程度)
– 自治体のゴミ処理施設に持ち込む
– 小さな廃材は、DIY工房などで引き取ってもらう
わが家は、ホームセンターの廃材回収を利用しました。手間もかからず、環境にも優しいです。
マナーある車中泊:
– 駐車場のルールを守る
– 騒音を出さない
– ゴミは持ち帰る
– 他の利用者に迷惑をかけない
環境への配慮は、長く車中泊を楽しむための必須条件だと考えています。
定期的なメンテナンス|長く使い続けるための工夫
ベッドを長く使い続けるには、メンテナンスが欠かせません。
月次点検:
– ネジの緩みをチェック
– ウレタンマットの劣化を確認
– 通気穴の詰まりをチェック
年次メンテナンス:
– ベニヤ板の表面を、軽くサンドペーパーで磨く
– 塗装が剥げていれば、タッチアップする
– ウレタンマットの交換を検討(5年程度が目安)
わが家では、毎月末に点検表をチェックしています。これにより、小さなトラブルを早期に発見でき、大きな修理を防ぐことができています。
まとめ
車中泊ベッドの自作は、決して難しくありません。むしろ、工夫とDIYの喜びを感じられる、素晴らしいプロジェクトです。わが家も、最初は不安でしたが、今では「自分たちで作ったベッド」への愛着が、旅の思い出をより深いものにしてくれています。
初期投資は3万円程度。既製品の10分の1以下です。失敗を恐れず、まずは挑戦してみてください。バックパッカー時代に感じた、あの創作の喜びが、きっと蘇りますよ。妻と一緒に、日本中を旅する車中泊の日々。このベッドがあれば、その旅はさらに快適で、思い出深いものになるはずです。

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